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【連載】止めよう都立・公社病院独法化④ 自治体病院の将来は〈6月7日号より〉
- 2020/6/2
- オピニオン連載, 都立・公社病院独法化
東京都は『新たな病院運営改革ビジョン』(20年3月)で、都立病院と公社病院について、2022年度内を目途に地方独立行政法人(地独法)化の準備・手続を進め、合計14の病院を1つの地独法人「東京都病院機構(仮称)」に集約すると打ち出しました。
以前、奥多摩町では、町立奥多摩病院が、国が示した「地域医療構想・経営の効率化・再編ネットワーク化・経営形態の見直し」の検討を余儀なくされました。17年に「新奥多摩病院改革プラン報告書」を出します。
奥多摩町も、経営形態の比較検討を行いました。その結果、地独法の評価は、「課題―(地独法)過去の事例では、必ずしも経営が良いという結果になっていない」として直営存続を決めました。
東京都と奥多摩町の違いはどこにあるでしょうか。奥多摩町の報告書は、副町長・病院長、町の職員で作成され、住民の生活の姿、病院への期待、真剣さが違いました。都は「監査法人トーマツ」に調査委託(1億~3億円)。都民の医療への要望調査など皆無でした。
奥多摩町は、営利目的に偏る医療にならないよう、「最優先事項の政策として、保健や福祉などを念頭に地域に根差した医療を提供する必要がある」と直営維持を説明しています。これが医療における自治体の団体自治の発揮というものです。
コロナ危機の根源
新型コロナ危機の根源はどこにあるでしょうか。日本共産党の志位和夫委員長は「新自由主義―すべてを市場原理にまかせ、資本の利潤を最大化していこう、あらゆるものを民営化していこうという流れの破綻がはっきりした」と語っています。
その後、立憲民主党代表の枝野幸男氏も会見で、私案としつつ「支え合う社会」を目指すために「新自由主義的社会の脆弱さ」を指摘して、生きていくために不可欠なケアサービスが脆弱であること、医療崩壊のギリギリまで追い込まれたことなどを新自由主義社会の問題と位置づけました。野党のリーダーの認識が、ほぼ一致していると言ってよいでしょう。
新型コロナの重症感染症患者を受け入れた荏原公社・駒込病院等は、社会からリスペクトされています。公的医療機関の役割を果たしたからです。
敵は、改憲も狙う安倍政権の新自由主義政策。それを忠実に実行する小池都政に都民が都知事選で審判を下すこと。最大焦点は、医療の新自由主義政策である都立病院・公社病院の地独法化を共同の力で阻止することです。1400万人の生命を小池都政に委ねるわけにはいきません。(終わり=安達智則・東京自治問題研究所主任研究員)
(東京民報2020年6月7日号より)