関東大震災97年でシンポ 声をあげ現状を変えよう 複合災害への備えは〈9月20日号より〉

 相次ぐ地震や風水害に加えてコロナ禍が広がる中で、これまでにない複合災害への備えを考えるシンポジウムが12日に文京区内で開かれました。関東大震災から97年を迎えるのを記念したもの。異常気象の実態や、避難所のあり方など、各分野から報告されました。

三密となる避難所 コロナ禍での運営は

 主催は、東京災害対策連絡会と、革新都政をつくる会。開会あいさつで、革新都政をつくる会の中山伸事務局長は、「今年も災害が相次いでおり、さらにコロナの新規陽性者が東京でも増え続けている。未体験の災害にどう取り組んでいくのか、多くの知見を集めていきたい」と呼びかけました。

 東京災対連世話人の末延渥史氏は複合災害の現状について、①日本列島が地震の再活動期を迎えた②地球温暖化の進行で風水害が巨大化、激甚化している③グローバル化によって数年に一度、感染症の世界的大流行が起きている―と、複合災害が起きやすくなっている背景を紹介。自助の強調ではなく、予防原則に立った防災対策こそ大切だと強調しました。

 コロナ禍のもとでの避難所のあり方について、日本共産党国民運動委員会の高瀬康正さんが発言しました。

 高瀬氏は、体育館で雑魚寝など、典型的な「三密」となる日本の避難所に対して、イタリアの避難所では個室が提供されることを写真で紹介。コロナ感染拡大を防止しながら避難所を運営するため、国が地方自治体にさまざまな通知を出しているものの、自治体がどう対応したかの調査が不十分で、「国が最後まで責任を持つ姿勢がない」と指摘しました。

 そのうえで、避難所・避難生活学会が「避難所TKB」として、①T=トイレを衛生的なものにすること②K=キッチンの改善③B=ダンボールベッドなど簡易ベッドの導入―を提言していることを紹介。「安心して避難できる避難所にするため、声を上げ、現状を変えていこう」と呼びかけました。

温暖化進み異常気象が

 気象学者の増田善信さんが、異常気象の現状について、講演しました。

異常気象の現状について講演する増田さん=12日、文京区

 増田氏は、異常気象には、第1種と呼ばれる竜巻や集中豪雨といった狭い範囲で短期間に現れるものと、第2種と呼ばれる熱波や干ばつ、長雨など10日以上も続く極端な現象の2種類があると紹介。2種ともに、温暖化の進展のなかで、発生が増加していることを、温暖化と異常気象の関係に関する自身の仮説も含めて解説しました。

 増田氏はそのうえで、二酸化炭素の排出量の推移からすれば、地球の平均気温が1・5度上昇することが予想される排出量にいたるまで、わずか8年しかないと指摘。1987年のモントリオール議定書でフロン類の排出規制に合意したことで、オゾン層の破壊が止められた経験もあることを強調しました。そして、国際的な取り組みで温暖化をとめるために、「ルールある社会」「公正な社会」という持続可能性の実現へ、全世界の市民社会が一致して声をあげることが必要だと提起しました。

 東京災対連の伊藤潤一さんが閉会あいさつし、自治体との交渉など、各地での取り組みを呼びかけました。

(東京民報2020年9月20日号より)

関連記事

最近の記事

  1. 杉並区 予算案を可決  杉並区議会は18日、岸本聡子区長が提案する2024年度一般会計当初予…
  2. 1面2面3面4面 【1面】 全盲の学生 「自分の力で通学したい」 大学前に音響信号ついた…
  3. 日本記者クラブで講演=3月19日、千代田区  新たな任務にたくさんの激励、期待の声をいただい…
  4.  自民党の裏金問題をめぐる衆院政治倫理審査会に18日、下村博文元文部科学相が出席しました。下村氏は…
  5. 都庁の第庁舎に映し出されたPM映像  都が2月から新たな観光資源にするとして都庁舎の壁面に映…

インスタグラム開設しました!

 

東京民報のインスタグラムを開設しました。
ぜひ、フォローをお願いします!

@tokyominpo

Instagram

#東京民報 12月10日号4面は「東京で楽しむ星の話」。今年の #ふたご座流星群 は、8年に一度の好条件といいます。
#横田基地 に所属する特殊作戦機CV22オスプレイが11月29日午後、鹿児島県の屋久島沖で墜落しました。#オスプレイ が死亡を伴う事故を起こしたのは、日本国内では初めて。住民団体からは「私たちの頭上を飛ぶなど、とんでもない」との声が上がっています。
老舗パチンコメーカーの株式会社西陣が、従業員が救済を申し立てた東京都労働委員会(#都労委)の審問期日の12月20日に依願退職に応じない者を解雇するとの通知を送付しました。労働組合は「寒空の中、放り出すのか」として不当解雇撤回の救済を申し立てました。
「汚染が #横田基地 から流出したことは明らかだ」―都議会公営企業会計決算委で、#斉藤まりこ 都議(#日本共産党)は、都の研究所の過去の調査などをもとに、横田基地が #PFAS の主要な汚染源だと明らかにし、都に立ち入り調査を求めました。【12月3日号掲載】
東京都教育委員会が #立川高校 の夜間定時制の生徒募集を2025年度に停止する方針を打ち出したことを受けて、「#立川高校定時制の廃校に反対する会」「立川高等学校芙蓉会」(定時制同窓会)などは11月24日、JR立川駅前(立川市)で、方針撤回を求める宣伝を21人が参加して行いました。
「(知事選を前に)税金を原資に、町会・自治会を使って知事の宣伝をしているのは明らかだ」―13日の決算特別委員会で、#日本共産党 の #原田あきら 都議は、#小池百合子 知事の顔写真と名前、メッセージを掲載した都の防災啓発チラシについて追及しました。
ページ上部へ戻る