少人数学級実現を 地方議会 意見書相次ぐ〈10月4日号より〉

 小中学校の少人数学級実現を求める意見書が都内地方議会で相次いで可決しています。少人数での授業や少人数学級は、子どもたちにゆきとどいた教育を行うための重要な教育条件として、教育関係者や保護者の強い願いでしたが、財政上の問題をはじめ、さまざまな理由をつけて政府・自民党が反対し、実現にいたっていません。コロナ禍のもとで子どもたちの安全を守るには、過密状況の解消が必要との世論の広がりが背景にあるとみられます。

 国立市議会は9月15日、「国と都に対して小中高校における少人数学級の早期実現を求める意見書」を自民党以外の賛成多数で可決。市民がつくる「くにたちの学校給食を考える会」有志が提出した同趣旨の陳情採択を受けてのもの。賛成は日本共産党、立憲民主党、公明党、社民・ネット・緑の風、新しい議会の各党・会派で、自民党だけが反対しました。

 意見書はコロナ禍で、分散登校や分散授業による少人数学級で三密回避だけでなく、授業や生活指導で児童生徒一人ひとりに丁寧に向き合うことができるようになったとの意見を紹介。また、学校給食の果たしている役割が改めて評価された一方、感染予防のために教職員の負担も増加しているが、少人数学級実施によってそれらの負担を減らすことができると強調。

 その上で、増える学級数や教職員配置には都の予算確保と国の支援が求められるとし、適切な対応を国、都に求めています。

共産党が共同提案

 調布市議会は9月23日の第3回定例会最終日で、共産党市議団が提案した「新型コロナウイルス感染症の感染防止対策と一人ひとりに寄り添った丁寧な教育を行うために早急に少人数学級の実施を求める意見書」を全会一致で可決しました。

 意見書では東京都と政府に対し、「感染防止対策を進め、子ども達が安心して学べるために、速やかに、少人数学級を実施するよう、必要な予算措置を行うこと」を求めています。

 意見書は共産党市議団の共同提案の呼びかけに社民党、生活者ネットが賛同し、本会議では他会派すべてが賛成し、全会一致となりました。

 これまで少人数学級に背を向けていた自民党も、今回賛成しました。背景には政府の教育再生会議が9月8日に、少人数学級の実現について集中的に論議するワーキンググループの初会合を行い、来年度できるところから少人数学級に取り組む考えで一致したことなどがあると見られます。

 八王子市議会は9月24日、「少人数学級を求める意見書」を全会一致で可決。「一クラス30人程度を基本とした少人数学級を実施できるよう環境整備を行うことが重要」とし、必要な教職員の加配と財政支援を早急に行うよう政府に求めています。

 意見書の提案説明をした共産党の望月翔平市議は、「教職員をはじめ、多くの市民が要請や署名に動いてくれました。長年の悲願達成まであと少しです。引き続き少人数学級実現のため力を尽くします」と話しています。

 一方、日野市議会では共産党市議団が提出した「小中学校の教職員を増やして20人程度の少人数学級の実現を求める意見書」は、自民、公明の反対で議会に提案できませんでした。

 また、府中市議会では自民、公明などの反対で「少人数学級の実施を国に求める意見書の提出を求める陳情」が9月16日の本会議で不採択となりました。 

(東京民報2020年10月4日号より)

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