人権侵害の横行許されない 国立ハンセン病資料館 不当労働行為で申し立て〈11月8日号より〉

 国立ハンセン病資料館(東村山市)の委託事業者変更(本年4月)に伴い、同資料館で働く労働組合員である学芸員が職場を追われました。支援する会も結成され、6300人を超える署名も集められています。組合員は東京労働委員会(都労委)に救済の申立てをしてたたかっています。

 同資料館は約90年近くに渡るハンセン病患者・回復者に対する正しい知識の普及啓発による偏見・差別の解消や、回復者とその家族の名誉回復を目的に設置されました。運営は当初より外部委託で入札により委託先を選定、単年度の業務委託契約を締結しています。

 昨年度まで公益財団法人日本財団が4年間受託し、本年度から日本財団の実質的な関係組織である公益財団法人笹川保健財団(笹川財団)が、日本財団の意向を受けて入札に参加し受託・運営をしています。

 資料館職員は受託者が雇用していますが、これまで学芸員や他の職員は受託者の変更時も、それまでと変わらず雇用が維持されてきています。

報告集会で話す組合員=10月15日、新宿区

 しかし、笹川財団は受託を前に、これまでになかった採用試験を実施。国家公務員一般労働組合(国公一般)国立ハンセン病資料館分会組合員を2人不採用として雇い止めになりました。

 国公一般労働組合は10月15日、都労委の調査期日報告集会を開き、「資料館職員有志が関係各所などに、雇い止めされた職員を誹謗中傷するような文書を送付していること」を告発。「資料館を所管する厚生労働省も“誹謗中傷と認識しており、好ましいものではない”として顛末書の提出と厳重注意をした」ことを明らかにしました。

 資料館に残る1人の組合員もコロナを理由にほとんどが在宅勤務となり、出勤しても情報が共有されないと訴えています。

 他方、出勤日数が週2日とのルールを超えている学芸員もおり、資料館では学芸員が不足しているとして募集をしている最中です。

 不採用となった組合員らを職場に戻すため5月、国公一般は、都労委に「不当労働行為救済命令」を申し立てています。

 日本財団、笹川記念財団は不当労働行為を認めていません。

 人権侵害の歴史を伝える場で、人権侵害が繰り返されているのならば早急に解決すべきです。

明らかな組合員排除 代理人 今泉義竜弁護士の話

 資料館の学芸員は単年度契約ですが、18年間に渡り受託者が変更になっても雇用が継続されてきた人らが雇い止めになっています。

今泉弁護士

 今回、初めて急に採用試験が行われており、実質、3人の組合員のうち2人だけが職場を追われています。委託変更に伴う採用試験など、他にも前例はありません。試験で多面評価するとしながら、一方で2人以外は従来の雇用を維持していることは矛盾です。また他者評価として、同僚が評価することは、雇用主に迎合する者が、そうでない者を排除することも可能になり問題です。

 このようなことがまかり通れば、労働者の権利や人権が守られません。何も言えない人が低賃金で働かされ続けることにつながります。仮に組合員に職務上の問題があるなら、手順を踏んで懲戒処分や解雇という処分を下せばいいだけのことです。

 複数台の監視カメラによる組合員の監視が日本財団時代から笹川記念財団に運営が変わっても行われていることがあきらかになり、組合員排除が明らかです。さらに監視内容の記録には組合員を侮蔑的な呼び名で記しており、職場内で人権侵害が横行していることも看過できません。

(東京民報2020年11月8日号より)

関連記事

最近の記事

  1. 「フランチャイズで働く私たちにも人権がある」と訴える学研教室の先生と弁護団ら=11日、千代田区 …
  2. 署名を提出する会のメンバー=15日、狛江市  こまえ図書館住民投票の会は15日、松原俊雄市長…
  3.  国土交通省は、日本共産党の宮本徹衆院議員の質問主意書への答弁書(5日の閣議決定)で、羽田空港での…
  4.  超党派議員の国会議員でつくる「羽田低空飛行見直しのための議員連盟」は11日、国土交通省から先月に…
  5.  日本共産党都議団は12日、米軍横田基地に核搭載可能な米空軍のB52H戦略爆撃機が飛来したことに対…

インスタグラム開設しました!

 

東京民報のインスタグラムを開設しました。
ぜひ、フォローをお願いします!

@tokyominpo

Instagram

#東京民報 12月10日号4面は「東京で楽しむ星の話」。今年の #ふたご座流星群 は、8年に一度の好条件といいます。
#横田基地 に所属する特殊作戦機CV22オスプレイが11月29日午後、鹿児島県の屋久島沖で墜落しました。#オスプレイ が死亡を伴う事故を起こしたのは、日本国内では初めて。住民団体からは「私たちの頭上を飛ぶなど、とんでもない」との声が上がっています。
老舗パチンコメーカーの株式会社西陣が、従業員が救済を申し立てた東京都労働委員会(#都労委)の審問期日の12月20日に依願退職に応じない者を解雇するとの通知を送付しました。労働組合は「寒空の中、放り出すのか」として不当解雇撤回の救済を申し立てました。
「汚染が #横田基地 から流出したことは明らかだ」―都議会公営企業会計決算委で、#斉藤まりこ 都議(#日本共産党)は、都の研究所の過去の調査などをもとに、横田基地が #PFAS の主要な汚染源だと明らかにし、都に立ち入り調査を求めました。【12月3日号掲載】
東京都教育委員会が #立川高校 の夜間定時制の生徒募集を2025年度に停止する方針を打ち出したことを受けて、「#立川高校定時制の廃校に反対する会」「立川高等学校芙蓉会」(定時制同窓会)などは11月24日、JR立川駅前(立川市)で、方針撤回を求める宣伝を21人が参加して行いました。
「(知事選を前に)税金を原資に、町会・自治会を使って知事の宣伝をしているのは明らかだ」―13日の決算特別委員会で、#日本共産党 の #原田あきら 都議は、#小池百合子 知事の顔写真と名前、メッセージを掲載した都の防災啓発チラシについて追及しました。
ページ上部へ戻る