調布陥没 外環工事の因果関係認める 工事再開の方針に批判〈2月21日号より〉

 昨年10月以来、東京外かく環状道路(東京外環)のトンネル工事ルート上で道路陥没や、巨大地下空洞発見が相次ぐ調布市内の問題で、東京外環トンネル検討委員会有識者委員会(有識者委)は12日、記者会見で、工事施工が一連の事故の原因であることを認めました。

 会見では、沿線住民への対応についても言及。空洞の補修に続き、▽家屋や外壁の補修▽不動産売買の売却損や家賃減収補填▽健康被害について―などの補償をすることを明らかにしました。通常は道路が完成・供用開始後に補償が行われますが、今回は完成前に指定する1000軒を中心に被害者連絡会を通さず個別に行うとしています。

 他方、施工者であるNEXCO(高速道路会社)東日本は本工事を継続すると公言。事故現場付近を「特殊な地盤」とし、再発防止対策を年度内に行い、次年度に工事再開しようとしていることが明らかになりました。さらに今回、先行補償する対象は調布市の現場のみであり、世田谷地域などの被害については該当しないと明言しています。

 一連の事故の原因を「特殊な地盤による」としたNEXCO東日本らの主張に、地盤工学が専門の芝浦工業大学の稲積真哉教授は「リスク要因があったと、後に言い出すことは大問題。事前に詳細な地盤調査をやっていない証拠」だと指摘し、現場地域だけが特殊な地盤ではないと語ります。 また有識者委はトンネル施工事業者の機関であり、第三者による検証は行われていません。

 NEXCO東日本は14、15の両日に参加者を指定した住民説明会を実施。それに伴い14日、外環被害住民連絡会・調布(被害住民連絡会)は①中立な第三者機関での検討②(振動などによる)健康被害の原因究明③公平・公正な補償基準の公表―などを求める声明を発表しています。

 同地域では9日に都が管理する入間川分水路内の損傷も公表されています。共産党の笠井亮衆院議員と都議団、調布市議団は10日、住民連絡会と懇談。力を合わせて救済に取り組んでいます。

(東京民報2021年2月21日号より)

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