感染抑止 自己責任やめ都が責任を検査拡大など「五つの提案」都議会定例会 原のり子都議が代表質問

 都議会本会議が2月24~26日開かれ、小池百合子知事の施政方針に対する各派代表質問と一般質問が行われました。代表質問(24日)には日本共産党から原のり子都議が立ち、都民が直面する課題について小池知事をただすと共に、都民の命と暮らしを守るための具体的な提案を行いました。

「お願い」だけ 菅政権と同じ

 原都議が最初に取り上げたのは、新型コロナウイルス感染症から、どう都民を守るか、についてです。

 原都議は、予算が審議される今回の定例議会は「都民が直面する課題に正面から向き合い、打開する具体策を示すべき」なのに、小池知事は施政方針でPCR検査にも保健所の体制強化や医療機関への支援にも一言も触れなかったと指摘。「都民に協力をお願いしただけで、自己責任を押し付け、無為無策の菅政権と変わらない」と批判。その上で、新型コロナ感染を抑える5つの提案を行いました。

 第1はPCR検査の抜本的に拡大し、無症状の陽性者を把握、保護することで、感染再拡大を抑え込むことです。ところが、都内検査数は1月12日をピークに減少し、最近では数千件にとどまっています。原都議は、最大稼働時6万8000件ある都の検査能力を有効に生かし、高齢者・障害者施設、保育園をはじめ広く定期的検査を実施するよう求めました。

 第2は保健所体制の抜本的拡充を急ぎ、縮小した感染ルートを追跡する積極的疫学調査を元に戻すことです。縮小に追い込まれたのは感染者急増に体制が追いつかなくなったことですが、その要因には自民党政権と都が一体となって保健所と職員を削減してきたことがあります。

 原都議は新年度に都の保健師定数を11人増員したのは重要だとしつつも、不十分だと指摘。「感染拡大時に必要となる体制を普段から確保しておくことが求められる」とのべ、保健師の抜本的増員を要求。また多摩地区は保健所が7カ所しかないとして、1区1カ所の23区との多摩格差の是正を求めました。

 吉村憲彦保健福祉局長は「今後、感染拡大から収束に至るまでの保健所の取り組みについて検証した上で、改めてそのあり方を検討していく」と答えました。

 第3は医療機関・従事者への支援強化で、国と都が減収補填を行うよう要求しました。「新年度予算が組めない」「ボーナスが払えない」など、医療機関と従事者のひっ迫は、コロナ患者受け入れの有無に関係なく深刻です。原都議は、その根底に、この数十年来進めてきた診療報酬、病床数、医師数を抑制・削減してきた政策の失敗があると指摘し、その転換を主張しました。

 第4は今夏の東京五輪を中止し、新型コロナ対策に全力を挙げることです。共産党都議団は、新型コロナ感染が世界的に拡大し、より感染力が強い変異株の発生などを理由に、1月26日に同趣旨の申し入れを知事に行っています。

 原都議は何を科学的根拠として開催可能と考えているのかと質問。小池知事は「安全・安心な大会の開催に向けて準備を着実に進めていく」と言うだけで、何の根拠も示せませんでした。

 第5は都立・公社病院の独立行政法人化の中止です。都立・公社病院の病床数は都内全体の5・6%なのにコロナ専用病床に占める割合は34%と、採算が足かせとなる民間病院には難しい役割を果たしています。

 ところが都は、その都立・公社病院の経営形態を採算重視の独立行政法人へ移管することに向けて、新年度予算に39億円もの巨費を投じて準備を進めています。さらに都は100床のコロナ専用病院を新設したのに、都立病院の看護職員の定数を新年度は4人減らします。

 原都議は「変えるべきは都立病院の経営形態ではなく、知事の姿勢です」と批判。職員の増員と医療体制の拡充を迫りました。小池知事は「この(行政的医療を提供する)役割は、独法化後も変わるものではない」と強弁しました。

営業・雇用で支援求める

 原都議はまた、コロナ禍における営業と雇用を守るために▽自粛要請による直接・間接の損失補償▽事業規模に応じた支給など協力金の抜本的拡充▽家賃支援給付金の拡充▽失業を生まない対策と雇用調整助成金の拡充―の4つを提案し、実現を求めました。

 また原都議は、都の世論調査で暮らしが「苦しくなった」との回答が33%を超え、前年より9㌽増えたことを示し、「都民の暮らしの支援に全力をあげるべきだ」と質問。小池知事は「都民生活の安定のため、必要な支援を行っていく」と答弁しました。

森氏発言の認識答えず

 原都議は森喜朗東京五輪組織委員会前会長の女性蔑視発言について、「ジェンダー平等という日本を含めた世界中で進められている取り組みに反する、女性蔑視・差別であり、辞任で終わる問題ではない」と指摘。それにもかかわらず、小池知事は施政方針で一言も触れなかったとし、知事の認識をただしました。

再質問で小池知事をただす原都議=2月24日、都議会

 小池氏は答弁せず、原都議の再質問にも立ちませんでした。

 原都議は「知事にはSDGs(国連が掲げている持続可能な開発目標)に位置づけられているジェンダー平等の具体化を進める責務がある」と強調。4年間で開催ゼロの男女平等参画審議会開催や、ジェンダー平等推進局の設置、同性パートナーの権利を保障するパートナーシップ制度実施、DV被害者に対する相談支援センターの多摩地区への設置、などを提案しました。

 小池知事はジェンダー平等について「性別にかかわりなく個人として尊重され、その個性と能力を十分に発揮できる社会づくりは重要」との認識を示しました。野間達也生活文化局長は、男女平等参画審議会について新年度、総合計画の基本的考え方について議論すると答弁。配偶者暴力支援センターの整備は、21年度までに20市区町村を目標とするとしました。

原都議が代表質問で行った提案

この他、原都議の主な提案事項は以下の通り。

▽国民健康保険料(税)負担軽減のための区市町村への財政支援▽特別養護老人ホーム、老人保健施設、認知症グループホームの整備促進▽補聴器購入補助の拡充など高齢者の聞こえの支援強化▽障害者の都職員への雇用拡大▽待機児童ゼロに向けた認可・公立保育園整備促進▽小中高等学校での少人数学級前倒し実施▽都営住宅の新規建設や借り上げ方式などによる大幅な増設▽住宅の耐震化率95%の達成年次の明確化▽都市における農業振興、農地保全のための支援拡充▽大規模開発から環境ファーストの都市づくりへの転換▽外環道陥没事故の第三者による事故調査検討組織の創設、事業認可の延長不許可▽コロナ禍で財政運営に苦労する多摩地域自治体への財政支援の強化▽米軍横田基地からのCV22オスプレイの撤去を米軍と日本政府に求める

【東京民報2021年3月7日号より】

 

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