都議会 新しい任期がスタート 共闘勢力に大きな変化 議会招集の請求も可能に

小池与党は7議席減

 先の都議選の結果について、多くのメディアは「勝者なき結果」などと報道していますが、小池都政を支える自公都ファと共産党・「市民と野党の共闘」勢力との対決という視点から見れば、大きな変化が生まれていることが分かります。

 

 

 その一つは、「五輪より命を大切にする都政」や「都立病院を守る」ことなどを掲げた市民と野党の共闘によって、共産党は18議席から19議席、立憲民主党が8議席から15議席へと前進したほか、生活者ネットが1議席を守り、1人区の小金井市で市民と野党の共闘候補が当選。その結果、改選前は27議席だったのが36議席へと9議席前進。一方、選挙協定を結び2党で過半数を狙った自民、公明両党は、合計で48議席から56議席へと8議席伸ばしたものの64議席の過半数には及ばず、実質的な敗北に。

 都ファを加えた小池与党全体で見ると、94議席から87議席へと7議席後退しました(グラフ1)。

 自・公が過半数を獲得できなかったもとで、「しがらみによる政治を復活させるのか、改革都政を継続させるのか」などとして、自民党の批判票を取り込んだことで「踏みとどまった」と見られる都ファが、今後どういう対応をとるか、都民の厳しい視線が注がれることになります。

 都議会に大きな可能性も生まれています。その一つが臨時議会の招集を要請できる議会招集権です。議会定数の4分の1、32人以上の賛成があれば、知事に臨時議会の招集を請求できるのです。新しい議会では共産、立憲が一致すれば34人となり、行使が可能となりました。

 この間、小池知事は補正予算を議会の審議を経ないで決定する専決処分を繰り返していますが、改選前は6会派が賛成しても1人足りませんでした。今後は、これに歯止めをかけることができるか注目です。

増えた女性都議

 新しい都議会の女性都議は前回当選者36人から5人増え41人と過去最多となり、女性が占める割合は32%になったことも特徴です。中でも共産党は「ジェンダー平等を進め、個人の尊厳を大切にする東京」の実現を重点政策の一つに掲げ、候補者31人中、6割近い18人の女性を擁立。15%の自民、13%の公明とは対照的でした。共産党の当選者19人のうち女性は14人で、比率も改選時72%から74%へとさらに高まりました。人数では11人の都ファを抜いて第1党になりました(グラフ2)。

 

願いにこたえる都議会に 新日本婦人の会東京都本部 佐久間千絵会長

 市民と野党の共同で日本共産党、立憲民主党など立憲野党の議席が前進し、その中で女性都議が増えたことをうれしく思っています。“生理の貧困”や妊娠・出産にかかわる課題、性被害の問題など、男性には理解されにくい“体感”によってしか分からない問題も多くあるからです。

 同時に、私たちが今取り組む人権や多様性が尊重されるジェンダー平等は、性別に関わりなく、性的マイノリティーの人たちも含め全ての人たちの願いです。この願いに積極的に応えることができる都議会になるよう期待しています。

羽田新ルート 都議会で反対勢力が前進 住民「有権者の選択の現れ」

 都議選では、都心の超低空を飛行する羽田空港新ルートの問題も大きな争点になりました。

 騒音や落下物の危険にさらされる地域を中心に反対運動が大きく広がり、品川区議会や港区議会で、ルートの変更を求める決議や意見書が可決されています。そうした中、「住民の理解」を得ることを前提としていた政府に、ゴーサインを出したのが東京都でした。

 都議選では共産、立憲両党が前進し、新ルートの撤廃、見直しを求める勢力が大きくなりました。

 品川区では定数4のうち推進派の自民2人と都ファの候補が落選。撤廃、見直しを公約した共産と立憲が当選しました。

 「羽田増便による低空飛行ルートに反対する品川区民の会」の秋田操共同代表は、「品川区では定数4を有力7氏で争いましたが結果は、羽田新ルート撤回を公約した共産党の白石たみお氏、立憲民主党の、あべ祐美子氏が当選する一方、新ルート推進派の自民党2人と都民ファーストの1人は落選しました。新ルート推進派は公明党都議1人だけで、現職の無所属都議(東京みらい)は、態度表明がありませんでした。ここに有権者の厳しい選択が現れていると思います」と語り、改めて新ルートの撤廃を国、都に強く求める意向です。

 また、都議選前の6月14日、24人で発足した超党派による「羽田新ルート見直しのための都議会議員連盟」(会長=西沢圭太・立憲都議)の白石たみお事務局長(品川区選出都議)は、「新ルートに反対して新たに当選した都議に加盟を働きかけ、活動を早急に本格化させたい」と意欲を見せています。

(東京民報2021年8月1日号より)

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