コロナ急拡大 医療ひっ迫、深刻に 政府「重症以外は自宅」〈2021年8月22日号〉

医療現場「命守れない」

 新型コロナ感染者の急増で、都内の医療が崩壊寸前の深刻な危機を迎えています。入院や宿泊療養ができず、自宅で過ごさざるを得ない患者は15日現在で約3万5千人に。そんななか、菅政権が突然打ち出した、新型コロナ感染者の入院を重症者などに限定する方針は、強い反対の声が広がり、見直しに追い込まれました。ただ、「重点化」の名で入院を制限する方針は撤回していません。専門家は、体制を整えないまま自宅療養が増えることは、重症患者の増加を招きかねないと警鐘を鳴らします。

 都内で入院・療養先が決まっていない「入院・療養等調整中」の人は、15日時点で約1万4千人、自宅療養中の人と合わせると、約3万5千人が自宅で過ごしています。

 一般の救急医療でも、患者の受け入れ先がなかなか決まらないケースが急増しており、医療のひっ迫は深刻です。

 政府は3日、「現下の感染拡大を踏まえた患者療養の考え方について」という要請文書で、重症患者と特に重症化リスクの高い患者以外は、原則自宅療養を求める方針を打ち出しました。重症の次に症状が重い中等症の人たちが入院できなくなると、医療現場から強い反対が広がり、与党内からも見直しを求める声が出されました。

 田村憲久厚労相は5日、参院厚労委員会で「中等症は原則入院」と表明し、説明を軌道修正しました。しかし、「重点化」の名で入院を制限し、中等症の一部の人などに、自宅療養を求める方針自体は撤回していません。

 東京都の小池百合子知事も7月28日、「特に1人暮らしの方々などは、自宅も病床のような形でやっていただく」として、自宅療養を広げる方針を示しています。

 コロナ患者を実際に診察する医療現場からは、自宅療養の拡大が重症化のリスクを増やすことに心配の声があがります。

〈東京民報2021年8月22日号より〉

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