「私たちは調整弁じゃない」コロナ禍 シフト制労働者の惨状〈2021年8月22日号〉

盲目的服従を求められ

 大手飲食店で働く労働者の80%超が非正規労働者で、大半を占めるシフト制労働者にコロナ禍により苦境が広がっています。1店舗1~2人の正規社員の他は、シフト制の非正規労働者であることは珍しくありません。新人の教育を担うなど責任を持たされた働き方も当然のようにあります。その一方で、コロナ禍での時短営業や休業に伴い働けなくなった分の賃金は、正社員には補償しても、シフト制非正規労働者には未払いが横行し、「生活が苦しい」との声が多く聞かれます。「社員と遜色なく働いていることを認めて処遇して欲しい」と当事者らは声をあげています。

 大手飲食店「かつや」の23区内の店舗で7年以上も働く臼井健司さん(仮名)は新型コロナへの感染を恐れて対応したばかりに、会社から〝制裁措置〟に遭い5日、労働審判を申し立てました。

 昨年4月、店舗は時短営業になっていましたが、会社の指示により社員が発熱中に出勤。新型コロナウイルス感染症への感染を恐れパート、アルバイトらで店舗の消毒と自主的な休業を行うとともに会社に対応を求めていました。しかし、改善がなされないために2週間程度の自主休業を行いました。

 その後、会社と面談し「新規雇用によりシフトに入れられない」「5月中は来なくて良い」と制裁ともとれる対応が始まりました。臼井さんら飲食店ユニオン(首都圏青年ユニオン飲食店部会)の組合員3人は、6月から勤務再開するも大幅にシフトを削減されました。7月には健康保険証を返還させられたといいます。

 7月から団体交渉を5回、事務折衝も行うものの、会社は「営業をボイコット(自主休業)されるなら備えなければいけない」と制裁的シフト削減を継続しています。

 首都圏青年ユニオン顧問弁護団は▽労働日と労働時間が週5日、1日11時間で休憩2時間であったことの確認▽給与支援―などを求めて地位確認請求を申し立てたと記者会見で説明しています。

 制裁的なシフト削減に遭い続けている臼井さんは「(かつやでの収入で生活をしているために)経済的に困窮しています。会社は盲目的に服従を迫る」と訴えています。

 同弁護団事務局長の川口智也弁護士は「会社も発熱して勤務していたことを認め、健康観察ルールもあることを認めている」として企業の社会的責任を求めています。

人間として見て

 全国的に20ブランドを展開するフジオフードグループのカフェで働く藤先政美さん(仮名)も自身の働き方と処遇に、飲食店ユニオンとともに声をあげています。

 昨年4月にカフェが入っているショッピングセンターが休業したことに伴う店舗休業分の賃金は補償されていません。月に9~10万円あった賃金が大幅に減少し、食費や複数の子の保育料は貯蓄を崩して補填ほてんしています。飲食店ユニオンに加入し、たたかい始め、一時的にシフトは回復したものの再びシフト削減になり、異動先ではシフトを減らされる日が続きました。

 藤先さんは「採用面接で『労働者が個人で連絡を取り合うのは禁止』と言われていました。仕事中は監視カメラで見られていて会社に信用されていないと思いました」と語ります。

 さらに「私たちは調整弁なのでしょうか。9割を占めるシフト制の非正規労働者を会社は人間として見ていません。会社に貢献してきたという自負はあります。ユニオンのサポートでたたかっていますが、他社の人も応援してくれるから頑張れます」と強調します。藤先さんらの声が届くよう、国もシフト制労働者の処遇改善に本腰を入れて取り組む時です。

〈東京民報2021年8月22年号より〉

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