国の責任で全患者に医療を 衆院厚労委 宮本議員が提案〈2021年9月5日号〉
- 2021/9/5
- 新型コロナ対策
日本共産党の宮本徹議員は8月25日の衆院厚生労働委員会の閉会中審査で、新型コロナウイルス感染症の患者急増の中、症状に応じた必要な医療を全患者に提供することを原則に、国主導で人員確保・財政支援を行い、早急な医療体制の強化を迫りました。
宮本議員は抗体カクテル療法について、外来・訪問診療、地域ごとの拠点、診断した医師がすぐに治療につなげる体制をつくることを提案。保健所が十分な対応ができないもとで、行政、医師会、医療機関一体で体制を構築できる支援を政府に求めました。
宮本議員はまた、臨時の医療施設の設置を急ぐことと合わせ、空床となっているコロナ患者受け入れ病院の病床が活用できるよう、人材確保のための財政支援と応援の派遣を提起。田村憲久厚労相は「マンパワーを確保しながら、空床となっている病床の利用を進めていきたい」と答弁。
宮本議員は臨時の医療施設などの人員確保について、強権発動ではなく、財政的支援、ワクチン接種への歯科医師のさらなる協力、全国的な法人への働きかけ、自衛隊の協力など国の責任を求めました。
また、神奈川県実施の抗原検査キットの家庭配布を紹介し、全世帯への抗原検査キット配布を提案。政府・新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長は、「検討に値する」と答弁しました。
都モニタリング会議 死亡者数増加を懸念
「医療提供体制は深刻な機能不全に陥っており、現状の新規陽性者数が継続するだけでも、救える命が救えない事態が更に悪化する」―8月26日の都モニタリング会議で、専門家は新型コロナの爆発的な都内感染状況について、改めて強い危機感を示しました。
大曲貴夫国立国際医療研究センター長は、「数週間にわたり、制御不能な状況が続いている」「医
療体制は深刻な機能不全に陥っている」と指摘しました。
また都内の新規陽性者数は、前回会議(19日)に比べ95%と減ったものの、検査数が1日1万5000件程度と少なく、陽性率20%超が続いていることから、「さらに多数の感染者が潜在している可能性もある」とし、不安な場合は保健所の判断がなくても受診し、検査を受けるよう勧めました。
若い世代が34%
都医師会の猪口正孝副会長は、全療養者のうち入院患者は10%、宿泊療養者は5%で、「極めて低い水準に低下している」と指摘しています。29日現在、入院中4251人、宿泊療養2131人に対し、「自宅療養」2万1738人と「入院・療養調整中」1万1191人を合わせた患者数は約3万3000人にのぼっています。
また、「自宅療養中」に死亡した事例もあげ、「深刻な事態となっている」と警告しました。実際、新型コロナが原因による死亡者は急増。都の発表によると、8月29日までの1週間で新たに87人(累計2466人)が死亡。このうち20代1人、30代2人、40代6人、50代21人と、若い世代が34%を占めています。
〈2021年9月5日号より〉