過去から未来へ思い継ぐ ワタナベ・コウさん、田村智子さん ネット対談 伊藤千代子を語る〈1月30日号より〉
- 2022/1/29
- 文化・芸術・暮らし
昨秋出版した『漫画 伊藤千代子の青春』の著者で服飾家、漫画家のワタナベ・コウ氏と、日本共産党の田村智子副委員長・参院議員による新春のネット対談企画「伊藤千代子と日本共産党を語る」が9日に行われ、大きな反響を呼んでいます。平和と民主主義を求めてたたかい抜いた彼女の生き様を知り、その志を未来へどのように受け継いでいくのか、約1時間半にわたって繰り広げられました。日本共産党東京都委員会が主催し、東京民報社が後援。東京民報の荒金哲編集長が、司会を務めました。
対談は主に3つのテーマをもとに展開しました。1部のテーマ「伊藤千代子について」では、ワタナベ氏が伊藤千代子を知り、漫画化するに至った経緯を説明。『時代の証言者 伊藤千代子』の著者、藤田廣登氏と出会い、「新しい光を千代子さんに当て、より多くの人に彼女の生涯を知ってほしい」という藤田氏からの提起に、ワタナベ氏は共感したと語ります。

田村氏は「複雑な心境で漫画を読んだ」と感想を伝え、「母の出身は長野県岡谷市で、旧姓は林。作中に登場する製糸工場の山一林組は、母の実家」と紹介。女工哀史を描いた映画「あゝ野麦峠」がテレビで放映されるときの「母の複雑な顔は忘れない」と打ち明けました。
漫画化に当たり、ワタナベ氏が意識したのはジェンダー視点。千代子が治安維持法と特高警察による大弾圧で検挙され、激しい拷問を受け、刑務所で非人道的な扱いを受けながらも己の志を曲げなかったのは、「千代子が10代からジェンダー視点を持っていたから」と推測します。
田村氏は「ジェンダー平等運動の原点のような時代」と指摘し、「日本における最初のストライキは女性であった」と劣悪な労働条件下で声を上げた女性たちの運動を紹介。千代子と同じく24歳で命を奪われた共産党員の飯島喜美にふれ、「受け継ぐべきたたかいが戦前から存在していたのは、私にとっての希望。日本の歴史として、もっと光が当てられるべき」と力を込めました。
普通選挙と治安維持法
2部のテーマは「戦前の日本社会と日本共産党のたたかいについて」。田村氏が大正デモクラシーの時代には、日本でも社会変革の必要性が文化人や知識人に広がっていたと解説。「早稲田大学は大した卒業論文じゃないと学生に返される」と笑いながら、芥川龍之介と大正デモクラシーの関係性について書いた自身の卒業論文を取り出し、「当時、芥川や菊池寛など、社会主義は必然であるとの立場で論説を書いている。支配層にとっては恐ろしいことだった」と指摘しました。

1925年の普通選挙法と治安維持法の制定について「普通選挙を実施すれば、農民や労働者が圧倒的多数を占める。抑え込むには民主主義を奪い、破壊し、治安の維持を名目にした法律で厳しく弾圧する道を選ぶしかなかった」と田村氏は推察。人々は労働争議や農民運動で勝利するには巨大な組織が必要と考え、「大きな時代の流れの中で、日本共産党が創立されたと捉えている」と語りました。
ワタナベ氏は「治安維持法の目的は思想の弾圧。思想というと難しく感じるが、素直な人間の思い。思想の弾圧は今も続いているのでは」と疑問を投げかけました。
特高警察の暴挙に対し、田村氏は「何らの反省もない。つまり戦後処理ができていない」と怒りを示し、ワタナベ氏は「謝罪も補償もないから、いつまでたっても(思想弾圧が続き)共産党は怖い印象で見られる。党の議員を増やし、追及を深めてほしい」と述べました。
入党までの葛藤と変化
3部のテーマは「伊藤千代子のたたかいを現代にどう受け継ぐのか」。ワタナベ氏が6年前に共産党を知り、入党するまでの葛藤、入党後の変化を説明。「入党すると不思議なことに、世界が変わって見える。支部会議に出ると、国会議員や地方議員とはまた違う、リアルな共産党員と出会える。千代子や小林多喜二たちの死が決して無駄ではなかったと、皆さんの活動を見て実感できた」と言います。
田村氏は入党時を回想し「核兵器をなくしたい、学費の値上げは許せないと声に出して行動するだけなのに、周りから特殊な学生として見られるのが悲しかった」と吐露。年末に帰省すると大学から実家に電話があり、家族に党員であることを知られました。「人生最悪の年越し。ふとんにくるまって泣いた」と、親に理解されなかった辛さ、大学の女子寮を追い出された苦い思い出を懐かしく語る場面もありました。

終盤では、共産党員との出会いがないと思っていたが、実は身近にいたという共通の話で盛り上がり、田村氏は「政治を語ることが当たり前になってほしい」と強調。最後にワタナベ氏は「共産党は謙虚すぎるところがある。政党助成金をもらっていないなど、他党との違いをもっと強くアピールして仲間を増やしてほしい」と訴え。田村氏が「今の日本には憲法を変えて当然という議論がまかり通っている。戦前のたたかいから何を学んだかということが、改めて問われている。日本の歴史の転換点になりうるような流れを、夏の参院選でつくりたい」と話し、幕を下ろしました。
(東京民報2022年1月30日号より)
※対談の全体は、こちらの動画で