- Home
- Top Stories, 気候危機・環境, 都政・都議会, 都民運動
- 井の頭公園 樹木伐採、見直しを 公園事務所の大規模改築

武蔵野市と三鷹市にまたがり、1917年の開園から武蔵野台地の豊かな自然を今に伝える井の頭公園で、86本の樹木が伐採される計画が判明。近隣住民は貴重な自然環境を守ろうと、「武蔵野の自然を生きる会」を立ち上げ、署名活動を進めています。
同公園は地元住民だけでなく、自然や動植物とのふれあいを楽しむために遠方からも多くの人々が訪れる、総面積約43万平方㍍の広大な都立公園です。
伐採は、井の頭公園の西側、武蔵野市御殿山に建つ東京都西部公園緑地事務所の改築工事が今年10月から約4年間にわたって行われることに伴うものです。
会のメンバーらは、「伐採される樹林帯は、ほかの井の頭公園のエリアには存在しない植物が生息している、貴重な場所。高木を切ることで日光が差し込み、植物学的にはそれらが生息できなくなる」と指摘。「野鳥、昆虫、植物も含め、生物環境のバランスが崩れる。なんとしても自然を救いたい」と語り、「環境調査をしっかりとしてほしい」と訴えます。
メンバーから相談を受けた日本共産党の里吉ゆみ都議をはじめ、武蔵野、三鷹の両市議など、超党派の議員も大規模な伐採を問題視して動き出し、東京都に対して見直しを求める声を、住民とともに上げています。
市民と超党派で自然守る
都の不誠実対応に驚がく
東京都建設局が管轄する西部公園緑地事務所は、多摩地域における都立公園や緑地などの整備、維持管理などを所管しています。1967年に建てられた事務所は老朽化が進み、建て替えは避けられません。問題となるのは都の不十分な説明と、不誠実な態度です。
発端は2020年7月上旬。武蔵野市まちづくり条例に基づき、工事現場から20㍍範囲の住民に改築工事計画に関する案内図や配置計画図、緑化計画図などの資料が都建設局から配布され、住民に知らされました。新型コロナ感染拡大予防のため住民説明会は行われず、希望者にのみ個別説明を実施。その時点では、44本の伐採計画でした。
住民らが見直しを求めた後、2021年3月に「基本計画に関する説明会のお知らせ」が通知され、同月に説明会を実施。そこでは44本の伐採を、18本に抑えると住民に伝えられました。
しかし、住民らは説明が十分でないと感じ、調整会の開催を要請。21年7月2日に調整会が開かれ、事務局や都建設局、都財務局、建築設計事務所の事業者を交えて質疑しましたが特に進展はなく、後日、開発事業者が従前、従後の樹木の状況を立面図など、分かりやすく作成して提出することになりました。
提出された樹木伐採計画図を見ると、高木86本が伐採される事実が発覚。都によると、「現場仮設事務所の設置や資材置き場、工事車両搬入のために必要な伐採」であると理由を述べています。
近隣住民は事の大きさを認識し、昨年12月に「武蔵野の自然を生きる会」を立ち上げました。ホームページも作成し、対面だけでなくネット署名も開始。都議会環境・建設委員会副委員長を務める日本共産党の里吉ゆみ都議に相談したことをきっかけに、立憲民主党の中村ひろし、五十嵐えり、グリーンな東京の漢人あきこの各都議のほか、三鷹市の野村羊子市議(無所属)、武蔵野市の本間まさよ市議(日本共産党)などにも伐採を見直す声が広がっています。会のメンバーとともに視察や対策会議なども行われ、超党派による運動が前進しています。
そのような状況の中、1月末頃に2月上旬から工事計画エリア内の一部の樹木に関して伐採を始めるという突然の先行工事案内が届きました。案内書には、改築工事には無関係の井の頭自然文化園ゲート横に伐採エリアが加えられており、一同驚愕。追加エリアに関しては、「自然文化園に入場する人の滞留場所を広げる」ことが理由です。都に対して強く抗議し、なんとか工事を食い止めている状態です。会のメンバーは「年度内の予算消化で工事を急いでいるようだ」と推察します。
メンバーらは近々、東京都に署名を提出する予定です。
〈東京民報2021年2月20日号より〉