葛飾区は昨年12月、学校プールを今後は改修せず、全廃していく方針を区議会に報告しました。日本共産党の三小田准一区議に、区の方針の問題点を寄稿してもらいました。
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区教育委員会は12月2日、区議会文教委員会に「今後の水泳指導の実施方法に関する方針(案)」を報告しました。
その内容は天候の変化、全国的な学校プールの減少、コストなどの問題をあげ、今後の水泳指導は、区立総合スポーツセンターや民間の屋内温水プールを活用するというもの。学校改築の際にプールは設置しない、プールの大規模改修も行わないなど、学校プールを順次廃止する方針です。
着衣泳は理論指導
「方針案」でも「海や川での水の事故を防ぐために」とその重要性を認めているように、水難事故から子どもの命を守ることが、水泳指導の出発点にあります。
ところが「方針案」では、現在はプールの水の入れ替え時などに行っている「着衣泳」は、民間プールでは難しくなるため、理論指導するとしています。
着衣泳は水難事故の際、水面で「浮いて待つ」命を守る訓練です。
昨年11月、香川県坂出市の修学旅行中の児童・教員ら60人を乗せた船が座礁した事故では、▽水温が低くなかった▽ライフジャケットが全員分あった▽「着衣泳」を毎年訓練していた―の3つの要因が重なり、全員無事生還しました。
韓国ではプールのある学校は少数です。しかし、2014年のセウォル号沈没事故以来、理論指導としていた水泳を、生存水泳の実技に変え、学校にプールを建設する政策に転換しました。
区教委は、「理論をしっかりと学んでいただくのも対応の一つ」と命を守る教育を否定する答弁を行いました。学校プール全廃は、人命軽視の現れです。