コラム砂時計 これって組織犯罪?〈3月13日号より〉

 自民党京都府支部連合会(西田昌司会長・参院議員)の組織的買収問題の内部文書で、にわかに注目されることになったのが「マネーロンダリング」(資金洗浄・略してマネロン)という言葉だ。(本紙2月20日号「一分」で既報)。犯罪の臭いがする金銭をごちゃまぜにして、不正な手段で収益を得たことを隠すのを意味する。

 これを禁じたのが「組織犯罪処罰法」で、1999年当時、小渕恵三内閣により通信傍受法(「盗聴法」)とともに提案された。既存の法律で取り締まることが可能な個々の犯罪を、「組織」に拡大するのは憲法違反だと、国民の間で反対運動が起き、野党も徹底抗戦したが、徹夜国会の末に同年11月成立した。

 それから23年を経た今、警察庁のホームページを見ると組織犯罪対策部の「マネーロンダリングとは」の説明文にはこうある。「一般に、犯罪によって得た収益を、その出所や真の所有者が分からないようにして、捜査機関による収益の発見や検挙を逃れようとする行為」

 京都府連が組織内に配った金は「犯罪によって得た収益」ではないものの、政党助成金が含まれていることは間違いない。だからその部分を「国民の税金によって得た資金」と読み換えれば、同府連の内部文書の言わんとするところが理解できるし、検挙を逃れようとする「確信犯」だからこその「マネロン」とも言えよう。この問題の渦中にある京都府連に属する大物議員が二之湯智(にのゆ・さとし)国家公安委員長で、長男は2019年の参院選で滋賀選挙区から立ち、野党統一候補に敗れた元参院議員、二男は現職の京都府議という政治家一家である。

 2月28日、弁護士らが京都府議を含む59人を公選法違反(買収)容疑で京都地検に告発した。その結果によっては「国民の良識を代表して警察を管理する」国家公安委員長の立場も揺らぎかねない。

(阿部芳郎・ジャーナリスト)

(東京民報2022年3月13日号より)

関連記事

最近の記事

  1. あいさつする(左から)山添拓、小池晃、吉良よし子、藤田りょうこ、宮本徹の各氏=2025年1月7日、…
  2.  日本共産党都議団は6日、1945年の東京大空襲や原爆被爆、終戦から80年となる今年、都が凍結して…
  3.  国土交通労働組合(国交労組)は12月27日、日本航空機と海上保安機の衝突事故(2024年1月2日…
  4.  2025年は12年に一度、参院選(改選6と補選1=任期3年)と都議選(総定数127)が行われる年…
  5. 受験シーズン 都が痴漢撲滅で活動  東京都は受験生を狙った痴漢被害が懸念される受験シーズンに…

インスタグラム開設しました!

 

東京民報のインスタグラムを開設しました。
ぜひ、フォローをお願いします!

@tokyominpo

ページ上部へ戻る