(20日号参照)都議会予算特別委員会(9日)で原のり子都議は、「コロナ禍で見えてきたのは、自己責任を押しつける政治では、命を守れないということ。『だれひとり置き去りにしない、取り残さない』ために、今こそ公の役割を見直し、位置付け、強化することが求められている」として、困難を抱えた子どもや家庭を支えるセーフティーネットとして、公立保育園への支援強化を求めました。

都内の公立保育園は1992年の1018園をピークに、その後徐々に減少し、2021年4月現在821園にまで減少しています。公立保育園の運営を担う区市町村の多くで、廃止や民営化を進める理由の一つに、財政問題をあげています。
原都議は2004年に公立保育園の運営費、06年に施設整備費が一般財源化された頃から減少が顕著になっていると指摘。国と都の保育園への補助の中心が私立になり、都の補助21メニューのうち、公立保育園が明確に対象となっているのは、昨年度は7つしかないと強調。そのことが公立保育園を維持する障害となっているとしました。
共産党都議団が行った調査では、区部と多摩で23自治体が公立保育園の施設数や定員を減らす計画があるか検討していると回答しています。
一方、都内の認可保育園のうち医療的ケア児を受け入れている人数は、公立保育園が私立の4倍、障害児を受け入れている園の割合では、公立は私立の3倍に上っていることが、原都議の質問で明らかになりました。公立が医療的ケア児を多く受け入れていることについて原都議は、「補助が公立にも出されていることが大きい」と指摘。「多くの公立保育園は長い歴史を持ち、その中で障害児保育の実践を積み重ね、高いスキルを持っている保育園がたくさんある」とのべました。
さらに都内保育園の離職率の比較(2020年)では、公立3.4%に対し私立が11.1%、平均勤続年数は都内保育士全体で5.4年に対し、公立園の保育士は約19年(共産党都議団調べ)だとし、「経験のある職員が揃っていて、重要な役割を果たしている公立保育園をなくすのは地域にとって大きな損失だ」と強調しました。
原都議はまた、困難を抱えた子どもや家庭を支えるために保育園と児童相談所・こども家庭支援センターなどが連携し、セーフティーネットの役割を強化するべきだと提言。小池知事は「社会全体で子どもと子育て家庭を支え、安心して暮らせる環境を整備していく」と答えました。
原都議は都が児童相談所を増やし、体制強化を打ち出したことを評価した上で、今ある保育園をしっかり位置付けて、セーフティーネットの強化を進め、公立保育園への支援を強化するよう、重ねて求めました。
〈東京民報2022年3月27日号より〉