「生意気を言いまして」ー14日に急逝された宝田明さんが、東京民報のインタビュー直後に発せられた言葉です▼1954年に映画ゴジラ第一作で主役に。数々の映画で活躍し、日本におけるミュージカル俳優の草分けでもありました大スターでありながら、気さくで謙虚な人がらが、印象的でした▼晩年まで、取材などの場で何度も語ったのが、壮絶な戦争体験と、そこからくる平和への思いです。戦争直後に、満州から引き揚げる際には、自身も銃撃を受け、麻酔もかけずに銃弾を取り出す手術を受けて生き延びました▼ゴジラが生まれて60年目を迎えた2014年の本紙のインタビューでは、「国会でこそ、ゴジラ第1作を上映してほしい」と語っていました。ゴジラが生まれた年の3月には、ビキニ環礁で第五福竜丸が被ばくしています。水爆実験で眠りから起こされたゴジラは、破壊者であるとともに、戦争のための核開発の被害者でもあります▼2014年のインタビューは、安倍政権が集団的自衛権の行使容認を進めようとしていた時期のものです。「政治家には戦争を絶対にしないことにこそ、情熱を燃やしてもらわないと」ーロシアのウクライナ侵略をめぐって、戦争と平和が鋭く問われる今、噛みしめたい言葉です。
〈東京民報2022年3月27日号より〉