コラム砂時計 東京の食料自給率は1%〈2022年12月16日号より〉

 

 東京民報(12月26日号4面)に「江戸東京野菜」の記事が掲載されていたのをきっかけに、東京にはどんな野菜があるのか調べてみた。JA東京中央会によると、江戸東京野菜として登録されているのは、カボチャ、キュウリ、ネギ、ミョウガなど50種類にのぼる。

 西新宿の淀橋、角筈(つのはず)などは、かつてカボチャの産地だったことから地名をそのまま冠して、「淀橋かぼちゃ」など固有の品種として場所を移して生産されている。中には地産地消を進めようと、2000年代に入ってから復活を遂げたものもあるという。

 昨年、日本の食料自給率(カロリーベース)が38・17%で過去最低を記録したことが発表された。ならば、東京の自給率は?と調べると、何と1%である。仮に東京が「兵糧攻め」に遭ったら、都民はたちまち餓死しかねない数字である。

 東京の一部の野菜が「絶滅危惧種」のようになってしまった原因は、1968年に制定された「新都市計画法」にある。市街化区域に指定された地域では、農地が宅地並み課税され、農家の野菜作りは採算が取れなくなった。宅地開発・人口流入を促進するために行われた税制が農地から農家の引きはがしに拍車をかけた。

 小売店の生鮮食料品の売り場で、野菜類の産地をチェックしてみると、カボチャ(ニュージーランド)、ニンニク(中国)、オクラ(フィリピン)、アスパラガス(メキシコ)が目についた。加工食品となるともっと増えて、トマト、玉ネギ、ニンジン、ブロッコリー、ホウレンソウ、サトイモなども輸入品で賄われている。外食チェーン店、加工食品業界がコストを低く抑えようとした結果がこれだ。江戸東京野菜を入り口に色々なことが見えてきた。

(阿部芳郎・ジャーナリスト)

(東京民報2022年1月16日号より)

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