【書評】27人が見た戦時のリアル 『少女たちの戦争』中央公論新社 編〈1月23日号より〉

 この本は「昭和16年12月8日の太平洋戦争開戦時に満20歳未満だった女性によるエッセイを収録したもの」(編集部)。27人のうち最年長は瀬戸内寂聴19歳、最年少は佐野洋子3歳。

 1931年9月満州事変、37年7月日中戦争、45年8月敗戦という、非日常が日常であった日々の、少女たちの目でみた戦時下のリアルです。

中央公論新社 2021年
1430円(税込)
太平洋戦争開戦80年企画。開戦時20歳未満の27人の女性たちによる、戦時の日常を描いた随筆を精選

 うち5人は満州、上海、インドネシア、サハリン、大連に住み、「大日本帝国」が「世界に冠たる日本」として「南方進出」した時代だった。その理屈は「イギリスはアヘン戦争をしかけて中国を侵略し、フランス、オランダもアジアの各地を植民地にしている。列強の侵略からアジアを解放し、大東亜共栄圏を築く聖戦だ」(津村節子)と教えこまれていた。

 大学が閉鎖され海軍経理部に勤めていた橋田壽賀子は「とにかくアメリカ兵が進駐してくる前に重要書類を焼却せよ」との命で三日三晩ほとんど寝ずに燃やした。

 新川和江は女学校の教室がつぶされ、旋盤やターレットという機械が運び込まれ兵器工場と化した中、「片道燃料で敵の航空母艦に突っ込んで行く特攻機の部品」を作らされた。

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