組合員「誠実に履行を」
国立ハンセン病資料館で国家公務員一般労働組合(国公一般)ハンセン病資料館分会の組合員2人が、職場から排除された問題で9日、東京都労働委員会は「職場に戻す」よう求める画期的命令を出しました。国公一般と同分会は10日、記者会見を開き「笹川保健財団は『救済命令』を誠実に履行すべきだ」と訴えました。
同資料館は東村山市にある国立療養所多磨全生園に隣接し、ハンセン病への理解と差別の解消を目的として、元患者の権利回復運動の歩みなどを展示し啓蒙する施設。入所者自身が運動資料などを展示してきた社会交流館が前身で、全生園の自治会や全国ハンセン病療養入所者協議会と親密な関係にあります。
今回、職場復帰を勝ち取ったのは、同資料館で最初の学芸員として貴重な資料や遺跡の保存活動などに長年携わってきた稲い なば 葉上たかみち道分会長と大久保菜央分会員。両者は2020年4月1日付での日本財団から笹川保健財団への委託替えに伴い、これまでに例のない採用試験で不採用とされ職場から排除されていました。
同分会は同資料館内でのハラスメントや労働基準法違反の横行の改善を求めて結成。当時、運営委託を担っていた日本財団に対して改善要求を行ってきました。しかし、日本財団は改善どころか組員を防犯カメラで監視。侮蔑的な別称で監視記録を記すなど人権侵害を継続的に行い、日本財団と密接な関係にある笹川保健財団に委託が引き継がれてからも続きました。
一連の問題で国公一般と同分会は10日、委託元である厚生労働省に対し「命令を履行するように指導せよ」などと要請しています。
国公一般は「人権の砦でおきた人権侵害は直ちに是正し義務を果たすべきだ。両財団は命令に不服申し立てをすることなく、違法行為と人権侵害をやめるべき」と述べています。