物価高騰から都民守れ 平和、暮らし巡り論戦〈2022年6月19日号〉

都議会 代表質問に藤田都議

 都議会は7日に小池百合子知事の所信表明に対する各派代表質問、8日に一般質問を行いました。日本共産党からは、代表質問に藤田りょうこ(大田区選出)、一般質問に池川友一都議(町田市選出)が立ちました。

横田基地強化

代表質問に立つ藤田都議=7日、都議会

「国連憲章に基づく団結で、一刻も早く戦争を終わらせることを心から呼びかけます」。藤田都議がこう呼びかけた上で最初に取り上げたのは、ロシアのウクライナ侵略を巡って、「軍事対軍事の悪循環や基地の強化を招く重大な問題」についてです。米軍横田基地を抱える首都・東京にとって、平和と安全に直結する課題です。

 5月の日米首脳共同声明で軍事同盟の強化が表明され、すでに全国各地で米軍基地の強化が進んでいます。横田基地(福生市など)では、特殊作戦機オスプレイの配備増強や、アジア・太平洋地域で最大規模となる米軍の南西諸島への緊急展開を想定した実践的訓練が5月に実施されました。横田C130130輸送機の燃料タンクを増強し、最前線に送ることを想定し、そのための大量燃料保管施設の増設工事も契約済みです。

 藤田都議は、こうした事実を示し「横田基地は今、最前線直結の基地に変貌している」と強調。米軍による危険な訓練と基地強化の中止、不平等な日米地位協定見直しへの行動を求めました。

 またロシアのプーチン大統領による核兵器の威嚇は許されないとして、都が「非核平和都市宣言」を行い、核兵器禁止条約の批准を政府に求めるべきだと要求。戦争の惨禍を伝え、平和の大切さを発信する都平和祈念館(仮称)の建設に踏み出し、収集した空襲体験者の証言ビデオや資料を広く公開し、常設展示につなげるよう提案しました。

 小池知事は、安保体制は「我が国のみならず、地域の平和、安定のために重要な役割を果たしている」と表明。非核平和都市宣言について「国の安全保障に関わる問題」だとして拒否。平和祈念館建設については「都議会での一定の審議と合意が必要」と述べただけでした。横山英樹生活文化スポーツ局長は、空襲関連資料の公開について「資料のデジタル化に着手し、より広く活用する」と答弁しました。

物価高騰

藤田都議は家計と経済の危機をもたらしたのが新型コロナとロシアのウクライナ侵略のせいだけでなく、異常な金融緩和で円安を引き起こしたアベノミクスと、自己責任を押しつけ格差を拡大した新自由主義の失敗だと指摘。暮らしと営業を守るため、消費税減税や最低賃金1500円への引き上げなどを政府に働きかけるとともに、賃金条項を持つ公契約条例の制定を提起しました。

 生活破壊が進むもとで「暮らしの基盤である住まいへの支援がとりわけ重要だ」と強調。厚生労働省の検討会が住まいを失う恐れのある人向けに家賃補助を含め「普遍的な社会保障施策」の検討を提起したと指摘。厚労相が検討していくと答弁した家賃補助制度の創設について国に求め、都としても決断すべきだと迫りました。

 藤田都議はまた、都の補正予算が都民生活と営業の深刻な実態に照らし「極めて不十分だ」として、生活困窮者、失業者への現金給付やひとり親家庭の食料支援、国民健康保険料の負担軽減、子どもの医療費助成の所得制限の撤廃や完全無償化、学校給食費の無償化を求めました。

 小池知事は学校給食費の支援について「物価高騰の中でも、必要な栄養バランスを確保した給食で子どもたちの健やかな成長を支えることが重要」と答えました。

 藤田都議は物価高騰を価格に転嫁できない中小業者から、直接的な支援要望が強く出されているとして、都独自の事業復活支援金の支給などに踏み出すべきだと要求。小池知事は「円安によるコストの上昇等を踏まえ適切な下請け取引にかかわる支援などを行う」とのべましたが、直接支援への言及はありませんでした。

感染7波への備え

藤田都議は新型コロナの感染第7波に備え、検査体制を強化するよう求め、全国で最も機動的にコロナ患者を受け入れてきた都立・公社病院の独立行政法人化の7月強行の中止を求めました。

 藤田都議は、小池知事が所信表明でコロナ対策の検査に言及がなかったと指摘。2020年末に集団感染が起きた障害者グループホームでは、都の集中的検査で感染の連鎖を断ち切ったことを紹介。学校現場でも「PCR検査の実施を広げ、子どもたちの安全な活動を最大限保障していくことが必要」だとして、PCR検査の拡大を求めました。小池知事は「検査を含めて、総合的に対策を進めていく」と答弁しました。

独法化強行

 藤田都議は小池知事が都立・公社病院の独法化で「安定的、柔軟な人材確保を行う」と述べたのに、先行して独法化した健康長寿医療センターでは常勤医師が大量離職し、いまだ補充できていないと指摘。「経営効率優先の独法化で、不採算の行政的医療が充実することはない」と強調。独法化中止を求める署名が40万人を超えたとし、「都民や病院職員の理解、納得がないまま独法化してよいのか」とただしました。

 知事は質問にまともに答えず、「(独法化後も)戦略的に運営し、都民の生命と健康を守り続けていく」と強弁しました。

藤田都議の代表質問を聞く小池知事(右)

重要課題で質問

 藤田都議は他にも、都立高校入試に「活用」する英語スピーキングテストの11月実施の再検討、教員不足の打開、ジェンダー平等と痴漢被害対策、パートナーシップ制度の改善と周知、若者支援策の拡充、防災対策における公助の拡充、外環道トンネル工事の事業認可取り消しとリニア新幹線の大深度地下トンネル工事の中止、神宮外苑再開発の都市開発決定の取り消し、気候危機打開に向けた都の取り組みなど、都の重要課題について質問、提案しました。

校則見直し 生徒の意見表明保障を 

一般質問に池川友一都議

一般質問に立つ池川都議=8日、都議会

 都議会一般質問で日本共産党の池川友一都議は、頭髪の規制など理不尽な校則を見直す動きが広がっているとして、見直しは一度で終わりにするのではなく、子どもの権利条約や都こども基本条例に基づき、生徒と保護者、教職員との対話を継続し、子どもの意見表明を保障するよう求めました。

 池川都議は世論の広がりを受けて都教育委員会、文部科学省が校則見直しを通知し、全ての都立高校でツーブロックの髪型禁止や「高校生らしさ」など理不尽で理由の説明ができない校則が廃止されたのは「大きな一歩」だと評価。校則見直しで全都立高校が生徒、保護者、教職員の話し合いを持ったことに触れ、「対話こそ民主主議の土台。学校で対話の土壌を育てていくことが必要だ」と強調しました。

 池川都議は国連子どもの権利委員会が、「(教育には)意見を表明しやすい、励ましに富んだ環境が必要だ」としているとし、子どもの意見表明を保障する環境をつくるよう求めました。

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