クルド人学生 生命守る配慮を 国が難民と認めず 〈2022年7月31日号〉

 10歳で来日し、日本で教育を受け大学に通う20代のクルド人男性が難民申請を却下され、国籍のあるトルコへの帰国を迫られています。出入国管理局は「このまま日本にいても(査証の発給をしないため)働くことはできない。トルコの大学で学んで働くように」との姿勢を崩しません。男性は帰国しても生活の基盤もなく、トルコの義務教育プログラムを受け直さなくてはいけません。父親は帰国すれば収容の可能性が高く、命が危険にさらされてしまうといいます。現在、仮放免(ことば)中の男性の今と胸の内を聞きました。

「難民キャンプや沖縄など、現地での学びをしたい」と語るクルド人大学生

 「国を持たない最大の民族」といわれるクルド人は、中東の各国に分かれて住んでいます。男性の父親はトルコ在住当時、クルド人政党を支持していたために政府から逮捕され、尋問、脅迫、弾圧を受けたといいます。父親は命の危機を感じて男性が1歳半の時、単身で日本に渡ってきました。男性と母親は親戚宅に身を寄せた後に来日し、日本で3日間のホテル収容を経て父親と再会したといいます。

 男性はトルコではトルコの歴史と偉大さ、算数とローマ字を1~6年生が一緒に1つの教室で1人の先生から教えられていたといいます。クルド語の使用は禁じられていました。

 来日3カ月後、首都圏の公立小学校に通い始めます。「日本語はできませんでした。学年に1人だけの外国人で近寄られないし、避けられていました。サッカーをきっかけに友達ができて、ドラえもんで日本語を覚えました」と語ります。公立中学、高校を経て「学びたい」という気持ちで大学に進学し、今は私立大学で国際政治や難民について学んでいます。「誰もが人権を保障される社会にしたい。大学院で学びを深めて、将来は国連職員として働きたい」と前を見据えています。しかし、その道のりは厳しいものとなっています。

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