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- 神宮外苑再開発「イチョウ並木は絶体絶命」伐採数の削減はごまかし 〈2022年8月28日号〉
都環境影響評価審議会は18日、事業者が提出した神宮外苑地区(新宿、渋谷、港区)の再開発事業の環境影響評価書案について、小池百合子知事に認める答申をしました。樹齢100年超を含む1000本近い樹木を伐採する同事業を巡っては、都民から計画見直しを求める声が広がり、評価書案についても前回審議会(5月)で外苑のシンボルであるイチョウ並木の保全への強い懸念が示され、異例の継続となっていました。答申ではそうした経緯を反映し、再開発事業者への環境保全の徹底や積極的な情報公開を求めました。一方、専門家からは前回審議会で出た懸念に答える新しいデータは提示されず、確実な保全が担保されていないなどと、厳しい指摘が出ています。
環境影響評価審が案を了承
開発地域内の樹木1381本のうち971本の伐採計画は都民の大きな批判を招き、ユネスコの諮問機関の国内組織、日本イコモス国内委員会からは、伐採数を2本に見直す案が提案されました。
三井不動産などの事業者出席のもとで開いた16日の環境影響評価審議会の部会は、伐採樹木を971本から保存・移植で556本に削減したことを評価。委員から「立派な決意で評価できる」などの意見も出ました。しかし、伐採削減数415本の内訳を見ると、工事期間中に枯れる可能性があるとして伐採を保留する311本、反対が強かったラグビー場前のイチョウ並木を困難とされる移植「検討」に変更19本を含み、合わせて8割を占めています。
8万人を超える反対署名を都に提出した経営コンサルタントのロッシェル・カップさんはSNSで、伐採数削減を評価することについて「本来切らなくてもよい樹木や、移植などとうてい不可能な樹木を足してごまかした数字をあたかも環境に配慮し、樹木を救済したかのように伝えることは、大きなミスリードになる」と指摘。「『建設計画の邪魔になる樹木は伐採する』という事業者の姿勢は全く変わっていません」とコメントしています。
8メートルでは守れない
中央大学研究開発機構の石川幹子教授は「『絶対にいちょう並木を守る』という前提への疑念に、具体的データを提示し、これから100年先の不確実性に対して答えることが、今回の審議会の目的だった。伐採樹木の数や新植樹木、伐採した樹木をどう処分するかなどは論点ではない」とコメントしています。