加齢性難聴への支援求める
加齢とともに聞こえづらくなる「加齢性難聴」の高齢者が増え、聞こえの問題が高齢者の社会参加の障壁となっていることが分かってきました。うつや認知症を引き起こす要因ともなるとの研究結果もあり、その対策として補聴器の効果が期待されています。一方、機器が高額な上に、専門家による調整を行う仕組みが十分整っていないことがネックとなって普及が進んでいないのが実態です。日本共産党は8月24日、厚生労働省から加齢性難聴者への対策について説明を聞き、公的助成を含む対策の強化を求めました。同党は来春の統一地方選で聞こえの支援を公約に掲げ、補助実現につなげたい考えです。
23区で広がる補助
高齢者が国の助成金制度を利用して補聴器を購入する場合、障害者総合支援法の補装具費支給制度を利用するしかありません。しかし条件が厳しく、かなりの重度難聴でなければ適用されません。東京23区でつくる特別区議会議長会は昨年、政府に対し、補聴器の購入費用への補助と継続使用ができる仕組みづくりを求める要望書を提出しています。
一方、都民運動や日本共産党の議会論戦などもあって、都内自治体では支援法に該当しない高齢者を対象に、補聴器購入への支援が広がっています。区部では2019年には6区だったのが、22年8月現在、16区に拡大(一覧参照)。19年から7回の陳情・請願が出された品川区でも実施の方向で動いています。
今年4月から助成を始めた港区では、「加齢による聴力の低下のため、日常生活に支障がある」60歳以上の区民を対象に、住民税非課税者は13万7000円を上限に、補聴器本体と付属品の購入を補助します(住民税課税者は購入費の半額で6万8500円が上限)。「補聴器相談医」「認定補聴器技能者」とも連携し、購入前からの相談から購入時の機器の調整、アフターケアまで対応します。