【コラム砂時計】崩れた校則の壁〈9月11日号より〉

 

 文部科学省の有識者会議は8月26日、「生徒指導提要」、いわゆる「校則」の改訂版をまとめた。

 ▽下着の色は白▽髪を染めていないかを確認する「地毛証明書」の提出▽ツーブロック(刈り上げと上部を残すカット)の禁止▽ポニーテールもだめ▽スカートの丈を一定に保つ▽政治活動の禁止─など法的拘束力はないものの、子どもの権利を不当に奪っている校則への批判に応えた形だ。

 国連で1989年に採択され、日本は1994年に批准した「子どもの権利条約」は戦争への反省から生まれ、子どもにとって重要な柱をいくつか示している。これに照らせば、日本の学校における「校則」は子どもの名誉を守り、自由に意見を述べ、自由に活動する権利を侵害していることは明らかだ。

 12年前にまとめられた「生徒指導提要」はその中で長々と「道徳教育」を説いているが、学校で生徒指導に用いられる「校則」は、冒頭で挙げたように、市民道徳とはおよそかけ離れたケースが少なからず見受けられた。

 こうした状況を変えようと全国各地で声を上げたのが、高校生たちだった。日本共産党の都議会議員もバックアップして議会で取り上げた結果、都の教育委員会もこの春、国に先駆けて校則の全面的な見直しに踏み切った。

 今年の春まで都立高校生でいま大学生の安達晴野(せいや)さんも声を上げた一人だ。彼は今回の「校則見直し」について、「校則を学校のホームページ等で公開する、制定の背景を示す、見直し時に踏むべき手続きを示すなど、改定される『提要』は、知ることすらままならなかった校則が、民主的で人権を保護するものに変わるため不可欠です」と期待している。

 声を上げれば変わることを事実で証明した若者たちの運動を実らせるかどうかは、教師、保護者を含む「おとな社会」の責任でもある。(阿部芳郎・ジャーナリスト)

(東京民報2022年9月11日号より)

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