【書評】コロナ禍の混乱は自然災害か 『コロナ禍で見えた保健・医療・介護の今後―新自由主義をこえて』 公益財団法人日本医療総合研究所 著
- 2022/9/21
- 書評
久しぶりに、保健・医療・介護そして福祉の総合的な議論を展開した本に出合いました。新型コロナのパンデミックの中で、日本国民は罹患しても、医療にもかかれないという大変な不安を経験させられました。未知のウイルスによる感染症であったとはいえ、先進国であるはずの日本でなぜこのような「医療崩壊」「福祉崩壊」が起きたのか? この疑問に答える一冊です。
この本は、保健(予防・公衆衛生)、医療提供、介護サービス、そして生活保護をはじめとする福祉を、それぞれの専門的立場から分析した、研究者グループによる集団的労作です。よく保健・医療・介護・福祉と並べていわれますが、財源や歴史的経過など、それぞれ異なった仕組みで運営されています。
それを理解したうえで、現状・課題を整理して今後の展望を描くことはかなり困難な作業です。当書は、若手研究者を中心にこの困難な課題に挑戦し、問題の解決方向を示しています。