都電荒川線は、荒川区の三ノ輪橋と早稲田の間を結ぶ路面電車。通勤通学、買物の足として欠かせない。途中、庚申塚、王子、飛鳥山、鬼子母神、面影橋など、江戸時代から親しまれてきた、風情あふれる名所旧跡の停留場を通っていく。日本一遅いジェットコースターのある荒川遊園地も、子どもたちには大人気。
春と秋、三ノ輪橋から約4㌔㍍にわたって植えられたバラが目を楽しませる。
三ノ輪橋の停留場で杖をついた方を、並んでいた人たちが「どうぞ」と手招きし、先頭に送り出した。乗り終わると、「チンチン」と懐かしい音を響かせ、電車はゆっくりと発車した。
写真・文 夏目安男
〈東京民報 2016年10月9日号より〉
※WEB版追記 写真家の夏目安男さんは2021年12月に亡くなりました。ご遺族の許可を得て、東京民報での連載「わがまち東京」をWeb版連載として掲載します