「アフリカでは、高齢者が一人亡くなると図書館が一つ消えるといいます」―ちょうど20年前、2002年4月にスペイン・マドリードで国連が開いた高齢者問題世界会議での、当時のアナン国連事務総長の演説の言葉です▼10月1日は国連が定める、国際高齢者デー。1990年に国連総会で定められたもので、高齢者の権利と尊厳を守ることや、高齢者差別、高齢者虐待撤廃などに関する意識向上を目的とした取り組みが世界で行われます▼その10月1日に、日本の政府が強行するのが、75歳以上の医療費窓口負担の2倍化の導入です。対象となるのは、単身世帯で年収200万円以上、夫婦世帯では合計年収320万円以上で、370万人ほどと見込まれます▼日本高齢期運動連絡会が取り組んだ生活実態調査でも、そうした世代でも貯金を取り崩して生活しているのが実情で、将来への不安は強く、医療費負担増は受診抑制による健康悪化につながるのは明らかだといいます。同連絡会は、「『2倍化』は高齢者に持ち込まれた差別」と批判します▼政府がもう一つ、強行したのが9月27日の安倍元首相「国葬」です。「税金は、法的根拠のない『国葬』のためにではなく、国民の暮らしのためにこそ」―全国に広がる、抗議の声です。
〈東京民報2022年10月2日号より〉