木場の角乗は、川並(かわなみ)と呼ばれる筏(いかだ)師が、鳶口(とびぐち)で水辺に浮かべた材木を操り、筏に組む仕事の余技から生まれた。丸太と違って角乗に使うのは角材、さらに高度な技術が必要だ。
今年も、江東区民祭りで、区の民俗芸能となった角乗が、16日(日)木場公園イベント池で披露される。ここ木場公園は、元は貯木場だったところ。小気味よい葛西囃子にのり、角材の上で下駄を履き、籠に人を乗せ、はしごに昇るなど高度な技を繰り広げる。成功すればやんやの喝さい。
木材のまち、深川木場の景観は失われて久しいが、川並のいなせな姿に、深川らしさを感じるひと時だ。
写真・文 夏目安男
〈東京民報 2016年10月16日号より〉
※WEB版追記 写真家の夏目安男さんは2021年12月に亡くなりました。ご遺族の許可を得て、東京民報での連載「わがまち東京」をWeb版連載として掲載します