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神宮外苑再開発 日本イコモス 樹木伐採数削減に疑義 4割減の根拠を示せ 〈2022年10月16日号より〉
- 2022/10/16
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神宮外苑地区(新宿、渋谷、港区)の再開発事業を巡って、日本イコモス国内委員会(委員長=岡田保良国士舘大学名誉教授)は6日、都庁で記者会見し、再開発で伐採する樹木の本数について、事業者が971本から556本に4割削減するとした説明は、「根拠を確認することができず、大量伐採が回避されたという誤解を広げている」と指摘。「公明正大な議論を行うため」、公開での現地共同調査を求めました。委員会はユネスコ(国連教育科学文化機関)の諮問機関の国内組織で、すでに樹木を守るための提言を今年4月に行っています。
専門家「千本近くが依然危機」
「情報提供の仕方が間違っている。依然として1000本近い樹木が危機にひんしている」。中央大学研究開発機構の石川幹子教授は、記者会見で語気を強めました。
日本イコモスが問題にしたのは、再開発事業者(三井不動産、伊藤忠商事、明治神宮、日本スポーツ振興センター)が8月の都環境影響評価審議会で、「伐採本数を971本から556本に減らす」とし、ウェブ上の広報誌「東京都神宮外苑ファクトシート」でウェブ公開しているのに、未だにその根拠となるデータは示されていないことです。
再開発では神宮外苑のシンボルであるイチョウを含め、約1000本もの貴重な樹木の伐採計画が大きな批判を招き、計画見直しを求める署名は10万人を超えています。都の環境影響評価審議会でも問題となり、こうしたことを受けての伐採本数の削減でした。
ところが、同委員会が3年半前に事業者が提出した樹木データに基づき9月に現地調査したところ、再開発事業エリア660本、再開発と一体で工事が計画されるのにエリア外を理由に公表対象から除外した聖徳記念絵画館前の芝生広場232本の計892本の伐採に加え、保存困難が建国記念文庫の森37本、衰退が懸念されるイチョウ並木60本、合計989本もの樹木が伐採・衰退が懸念されるとしました(図参照)。
例ない枯損木算入 伐採数なぜ増やす
石川氏は伐採削減数415本の75%を占める「枯損木」311本について、「どの樹木が相当するのか、環境影響評価書案に記載がないので確認ができない」と指摘。「公共事業で枯損木を(伐採樹木に)計上することは通常ない。わざわざ(当初案で)伐採樹木を増やしたのか分からない」と疑問を呈しました。