【書評】コロナ禍と食の構造関係 『コロナ後の食と農 腸活・菜園・有機給食』 吉田太郎 著

 コロナ後はどうなるのか? 日本では経済や株価の回復ばかりが話題になっているが、世界に目を向ければまったく様相が異なっているとして、おもに欧米の論調を紹介したのがこの本です。

 第1章で「小規模家族農業の解体と工場型畜産がコロナ禍を生んだ」として、中国武漢の食肉市場が発生源ともされるコロナ禍の背景を「大規模工業型農業政策によって経済的にも地理的にも追い詰められ、蝙蝠(こうもり)の住処である森の端で生きざるを得ない小規模農家たちの苦闘と微生物、動物、ヒトと食べ物をめぐる複雑な構造的関係性」と指摘。さらに「工場型畜産は感染症ウイルスの製造工場」であるという。工場型畜産は「育種選抜」をする。するとこうした群れにウイルスが感染すれば遺伝的に均一でばらつきがないからたちどころに感染してゆくと。

築地書館 2020年 2000円+税 よしだ・たろう 1961年生まれ。サラリーマン稼業の傍ら、日本各地、および海外で有機農業の取材、啓発につとめる

 今、市場で流通している肉類の大半は工場で生産されている。アメリカの食肉工場は低賃金の移民労働者に支えられ、コロナ禍で多くのクラスターが発生、感染のホットスポットとなった。日本ではそんな「米国産牛肉は輸入量全体の約4割を占める」が欧州は「安全性に問題がある」として輸入を禁止している。

 また、牛たちの餌を生産するのに広大な土地が必要で、これまた野生地への人間の侵入と生息地の破壊を引き起こす。

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