「商売繁盛、家内安全イヨー」チャチャチャと威勢のいい手締めの音が、次々と聞こえてくる。
浅草千束の鷲神社は、江戸の昔から「おとりさま」と親しまれ、11月の酉の日に、熊手を売る酉の市がたつ。境内には100以上の熊手店が並び、70万人以上の人出。熊手は1000円から、大きなものは何十万円もする。売れ筋は2?5万円位。熊手は毎年願いを込めて、少しずつ大きなものにしていく。大きな熊手を持った人に、「今年もご商売繁盛で、何よりですね」と声をかけると、にっこりと笑顔が帰ってきた。
写真・文 夏目安男
〈東京民報 2016年11月6日号より〉
※WEB版追記 写真家の夏目安男さんは2021年12月に亡くなりました。ご遺族の許可を得て、東京民報での連載「わがまち東京」をWeb版連載として掲載します