「料金を滞納して電気やガスが止まった家庭でも、水道はギリギリまで止めない」―以前、複数の都の職員に聞いた言葉です▼理由は「水の停止は命に関わるから」。そして、それが「行政が水道事業をやる意味だ」とも。そんな“常識”から、都政はいかにかけ離れてしまったのか、11月20日号で報じた公営企業決算特別委員会の質疑で驚きました▼日本共産党の和泉なおみ都議が取り上げたのは、料金滞納などによる給水の停止が、今年度は前年度より倍増している問題。理由の一つと指摘したのが、滞納家庭を訪問して催告し、生活困窮が伺えるなら福祉行政につなげる取り組みを、「業務効率化」の名で廃止したことです▼同じ号では、杉並区で岸本聡子新区長のもと、区民参加で新たな区政が始まっている姿も紹介しました。その岸本氏が国際NGOに勤めていた際、専門としたのが水道事業です▼岸本氏の著書「水道、再び公営化」では、世界各国で、効率化を目指したはずの水道事業民営化が失敗し、安全で安価な水を取り戻そうと、市民運動によって再公営化が進んだことを紹介しています。新自由主義の流れに抗して、住民と地域の暮らしを守る自治体を市民運動でどうつくりあげるか、東京にとっても重要な課題です。
〈東京民報2022年11月27日号より〉