岸田政権が年末にねらう安保関連3文書の改定に向け、自民公明両党が「敵基地攻撃能力(反撃能力)」の保有を合意しました▼仮想敵となる相手国のミサイル基地や、発射を司令する中枢機能を攻撃する能力を持とうというものです。従来、日本政府は「専守防衛」を掲げ、「平生から他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持つ」ことは、「憲法の趣旨とするところではない」と国会でも答弁してきました▼自公合意は、同盟国が攻撃を受けることによって日本の存立が脅かされる「存立危機事態」でも、対象になるとしています。米軍が始めた戦争に日本が参戦し、報復攻撃を受ける可能性がさらに高まります▼敵基地攻撃能力を持つことは、安倍政権による「安保法制」に匹敵するような、日本の安全保障政策の大転換にもかかわらず、「平和の党」を看板にしてきた公明党を含め、与党内からの異論の声はほとんど聞こえてきません。国会での本格的な議論もないまま、岸田政権は危険な道を突き進もうとしています▼敵基地攻撃に必要な防衛力を確保するには、大幅な増税や暮らしや教育、社会保障のための予算削減が不可避です。必要なのは、近隣の諸国と平和の道をつくる外交の努力こそ、です。
〈東京民報2022年12月11日号より〉