【書評】世界構造の認識新たに 『ウクライナ戦争と分断される世界』 大西広 著

 ウクライナ戦争が始まって7カ月を過ぎたが戦火は止みません。この間、対ロシアへの経済制裁に同調した国は36カ国と極めて少ないのに驚きます。戦争が始まったばかりの3月2日のロシアによるウクライナ侵攻非難決議への賛成が141カ国、反対が5カ国、棄権は中国やインドなど35カ国であったことを考えれば、格段の差です。

本の泉社 2022年
1600円(税込み)
おおにし・ひろし 1956年生まれ。経済学博士。慶應義塾大学名誉教授、京都大学名誉教授。『マルクス主義と長期法則』など多数。

 そして、経済制裁はいわゆる「西側」諸国に限られています。人口は11億人にすぎずインド1国にも及びません。これは「西側」諸国が「縮んでいる」ことの現れだと著者は指摘します。もちろん経済制裁に同調しないことがロシア支持でないことは明らかです。

 経済制裁に参加しない国々はどのような考えなのか? 著者は、この多くはアフリカ等の「南」側諸国でありウクライナ危機はかつての東西対立だけでなく、世界の底流にある南北の食い違いをも浮かび上がらせていると指摘しています。

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