岸田政権が1月27日、新型コロナの感染症法上の位置付けを、「5類」に引き下げることを決めました。移行は5月8日を予定しており、季節性インフルエンザと同じ位置付けとなります▼国の厚生科学審議会の感染症部会でも、「1年に三回も流行を起こす疾患を5類に当てはめて良いのか」などの疑問の声が出されたといいます。東京都の小池百合子知事も会見で「法的な位置づけが変わっても、ウイルスの病原性や感染力そのものは変わらない」と、段階的な移行を求めました▼第8波の感染拡大のなかで迎えた年末年始には、緊急性のある症状の人が「救急車を呼びたくて電話しても、119番にすらつながらない」などの声があふれ、深刻な医療体制のひっ迫が起こりました▼現状でも、医療へのアクセスが困難な状況が生まれているうえに、5類に引き下げる前提となるはずの、新型コロナの患者が、インフルエンザのように、どの病院でも診断と治療を受けられる体制の整備は進んでいません▼現場の医師などからは、このまま5類移行を進めれば、感染の深刻なまん延が広がり、医療に大混乱を招くと心配する声があがります。政府がやるべきは、安易な対策緩和ではなく、命を守る公的責任を果たすことです。
東京民報2023年2月5日号より