岸田首相が年頭記者会見や、通常国会の施政方針演説で語った「異次元の少子化対策」が、さまざまな話題を呼んでいます。子育て支援の重要性は言うまでもないものの、岸田政権の政策や発言には実態とのズレが目立ちます▼その典型が、産休・育休中のリスキリング(学び直し)を支援するとの国会答弁でしょう。夜中も泣くのをあやしたり、母乳やミルクをあげたり、オムツを替えたり、洗濯や掃除をしたり…。一分一秒に追われる、子育ての現実とはかけ離れた「対策」です▼施政方針演説では、保護者など当事者の「意見を徹底的にお伺いするところから始めます」という言葉もありました。首相の看板だったはずの「聞く力」はどこに行っていたのか、“聞くこと”がこれから始まるとは…▼発表が続く、東京都や都内自治体の来年度予算案には、議会論戦と住民の運動が動かした、子育て支援策が多く盛り込まれています。東京都では0歳から18歳まですべての子どもへの月5千円給付や、第二子以降の保育料無料化が実現。葛飾区を皮切りに、給食無償化の表明も相次いでいます▼子育て支援の重要な柱は、教育費など重すぎる負担の軽減です。4月の統一地方選を、当事者の運動と声でさらなる支援充実へと動かす機会に。
東京民報2023年2月12日号より