三井不動産などの事業者が、樹齢100年を含む1000本の樹木を伐採し、超高層ビルなどを建設する神宮外苑の再開発を巡って、見直しを求めるウエブ署名は11万人を超え、秩父宮ラグビー場、神宮球場の建て替え見直しを求める新たな署名も始まるなど、反対の声が広がっています。
こうした中、都は再開発の施行を2月17日、認可し、すでに一部の工事が始まっています。文化財保護に取り組むユネスコの日本国内の諮問機関、日本イコモス国内委員会は認可を前にした1月29日、環境アセス手続きにかかわって、事業者が1月20日に提出したアセス評価書で多数の「虚偽の報告、資料の提出」が行われたと公表。知事に都環境評価条例に基づき必要な措置を講ずるよう緊急要請しました。
注目されるのは、植物群落調査、イチョウ並木を含む樹木の健全度に関する調査結果など、小池知事が2022年8月に事業者による調査・報告の根拠が不明瞭であるとして十分な配慮を求めた事項が、ことごとく虚偽であったと指摘されたことです。
緊急要請の翌日に開かれたアセス審議会総会では、専門家から知事による勧告を求める意見や虚偽という指摘を真摯に受け止める発言が続きました。事業者はイコモスの指摘に対する「反証」を行うことになりました。
とや英津子都議は都議会代表質問で「事業者が虚偽の指摘を覆せなかった場合、イコモスが求めた勧告を行いアセスのやり直しを求めるのが当然だ」と強調、都の認識をただしました。栗岡祥一環境局長は、仮定の話には答弁できないとしつつ「条例上、事業の目的や内容の変更が規則に該当する場合には、事業者は変更届を都に提出しなければならないことになっている」と答えました。