【コラム砂時計】五輪と現代の「伏魔殿」

 

 

 東京都政に通じている人ならご存じのことだが、1960年代の半ば、都庁は「伏魔殿」という不名誉な呼ばれ方をしたことがあった。

 自民党推薦の東龍太郎都知事(1959~67年)の時代で、JOC委員長を務めるなど、在任中の1964年に開かれた東京で初めてのオリンピック競技大会誘致に深く関わった。

 翌65年3月、東京都議会議長の椅子を議会最大会派の自民党議員3人が争い、組織ぐるみの贈収賄事件へと広がった。賄賂は1人当たり数十万円から百数十万円で「都議会の黒い霧事件」とも言われた。当時のサラリーマンの平均年収が44万7600円(厚労省調べ)だから、半端な額ではない。

 選任された議長をふくむ15人が逮捕・起訴され、死亡のため控訴棄却された2人を除き、13人に執行猶予付き有罪判決が言い渡され、そのまま確定した。

 この事件をきっかけに都議会解散を求めるリコール運動が行われ、後に1967年の美濃部亮吉革新都政誕生の原動力となった。統一地方選挙が行われる年から、都議会議員選挙が、2年ずれているのは、先のような経緯があったからだ。

 それから60年近く経った2023年2月28日、東京地検特捜部は、2020東京五輪・パラリンピックの運営業務で談合したとして広告最大手「電通グループ」「博報堂」など法人6社と各社の幹部ら7人を起訴した。港区東新橋の超高層ビルにある電通本社は、商業化・肥大化した五輪が生んだ「現代の伏魔殿」というべきだ。

 組織委員会元理事の収賄疑惑に始まり、談合という企業犯罪まで、東京オリパラの「負の遺産」となった。同組織委員会の業務を引き継いだ清算法人が業務終了までに解明しなければならないことは山ほどある。

 犯罪とは別に都税・国費を大量に注ぎ込んで、収支決算は2兆円を超える大赤字。こうした政治的な責任を誰が負うか、はっきりさせなければ都民は承知しないだろう。(阿部芳郎・ジャーナリスト)

(東京民報2023年3月12日号より)

関連記事

最近の記事

  1.  ユネスコの諮問機関である国際NGOイコモス(国際記念物遺跡会議)が、危機的状況にある文化遺産の保…
  2. 報告集会であいさつする大久保さん(中央)と稲葉さん(左)=13日、港区  厚生労働省が所管す…
  3.  日本共産党の吉良よし子参院議員によるユーチューブの動画番組シリーズ「吉良よし子スタジオ」(きらス…
  4. 都議会 19日に定例会開会  都議会第3回定例会は19日開会します。小池百合子知事は条例案1…
  5. 1面2面3面4面 【1面】 インボイス あらゆる手段で止めよう 小池氏 クリエーターと懇…

インスタグラム開設しました!

 

東京民報のインスタグラムを開設しました。
ぜひ、フォローをお願いします!

@tokyominpo

Instagram

#新宿区 は8日、#明治神宮外苑 の再開発事業者が申請した25本の樹木伐採を許可しました。このことに対し市民グループ「#未来に子どもたちの笑顔をつくる神宮外苑を考える会」は12日、新宿区役所前で抗議のスタンディングを行い、約40人が参加。#神宮外苑 をテーマにした #サザンオールスターズ の曲「#Relay ~ #杜の詩」を合唱し、「かけがえのない日本と地域の宝、神宮外苑を壊さないで」と訴えました。
環境省が東京電力福島第1原発事故で発生した汚染土を、#新宿御苑(新宿区内藤町)の花壇で「再生利用」する実証事業を計画している問題で、#日本共産党 議員や住民らは14日、環境省から直近の状況説明を受けるとともに、実証事業を強行しないよう求めました。
政府が10月から導入をねらう「#インボイス(適格請求書)」制度を止めようと、#日本共産党 の #小池晃 参院議員・書記局長とさまざまな分野のクリエーターらが語り合う懇談企画が14日、ネット中継されました。品川区議会で、インボイス延期の請願に取り組んだ「#品川フリーランスの会」が主催したもの。声優やイラストレーター、写真家、演劇人などが、小池氏と語り合いました。
世直し雷大行進実行委員会が10日、インボイス制度の導入の中止・延期、消費税の減税などを求めて、台東区の花川戸公園で集会を行い、国内外の観光客で賑わう浅草寺周辺を約800人がパレードしました。
10月1日の #インボイス 制度開始が目前に迫った4日、インボイス制度を考えるフリーランスの会(STOP!インボイス)とインボイス問題検討・超党派議員連盟が緊急記者会見を共催しました。各政党の国会議員、財務省、国税庁、公正取引委員会の担当者も参加しました。
「希望を語る」―#日本共産党 の衆院比例東京予定候補の #坂井和歌子 さんが、各地での訴えで心がけていることです。同党都委員会常任委員で、#吉良よし子・#山添拓 両参院議員事務所長を務める坂井さん。言葉の原点には、東京の参院選を、市民の勝手連やボランティアとともに戦ってきた体験があります。
ページ上部へ戻る