「東京の貧困と格差」を考える学習会が4日開かれ、東京都立大学子ども・若者貧困研究センター長の阿部彩教授が「貧困から連帯へ」と題して講演しました。革新都政をつくる会が来年の都知事選挙に向けて主催する連続学習会の1回目です。
実態調査から見えるもの
子ども・若者貧困研究センターは、2016年に東京都の子どもの生活実態調査を実施。これは13年成立の子どもの貧困対策法に基づくもので、300以上の都道府県や自治体も調査を実施。大阪、沖縄、北海道など、ほとんどの自治体が追加調査を行いましたが、都は一度のみ。家庭の経済状況と学力・体力不足、抑うつ、ネット依存などの関連は、データをとるほど実証されるといいます。阿部氏は都が主導して調査を実施し実態把握に努めることが重要と指摘しました。
具体的な貧困対策を
子どもの貧困率の悪化は30年間にわたる親の稼得能力(所得を生み出す力)の低下が原因で、産業や社会的構造が要因。最貧層の勤労所得の増加のためには労働対策が不可欠で、これを支える経済政策に取り組むべきと訴えました。
特に集中すべき川上対策として、▽学校の中における学力格差の解消▽高校を含む学校給食の100%実施▽医療の保証▽賃上げ―を提起しました。高校生年齢における学力底辺校へは、学力に加え、給食などの食と就職支援を提案。成長産業に若者が参入できる環境づくりが、将来の日本経済を支えるとしました。