多摩地域の水道水に利用していた井戸水から、発がん性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)が広範に見つかっている問題をめぐり、住民による自主的な血液検査で、国分寺市や立川市などの住民の血液から高い濃度のPFASが検出されたことが7日までに分かりました。
血液検査に取り組む「多摩地域のPFAS汚染を明らかにする会」が、約650人を対象に取り組んだ検査のうち、273人分を中間結果として発表したものです。
中間結果の対象となったのは、多摩地域の19市町村に住む21歳~91歳。ほぼすべての人からPFASを検出し、代表的な4種類のPFASの合計で最大だった人は1ミリリットルあたり124.5ナノグラム、平均で28.1ナノグラムでした。
米国の「科学アカデミー」は7物質の合計で20ナノグラム/ミリリットルを超える場合、健康へのリスクがあるとしており、4種計の平均値でこれを上回っています。
10人以上の採血が行われた自治体ごとに4物質合計での平均値を見ると、高い順に、国分寺市(79人)45.7ナノグラム、立川市(41人)30.0ナノグラム、小平市(15人)24.0ナノグラム、あきる野市(18人)21.3ナノグラム、福生市(24人)18.0ナノグラム、青梅市(19人)16.8ナノグラム、羽村市(23人)16.7ナノグラム、小金井市(12人)16.6ナノグラム、瑞穂町(18人)14.0ナノグラムの順でした。
4市が米国の指標を超えています。最も低かった瑞穂町でも、2021年の国による全国調査の値よりも、大幅に高い傾向となっています。
分析を行った原田浩二京都大学准教授は「住民への暴露源は主に地下水が考えられる。泡消火剤を使っていた軍の基地や、メッキ・半導体工場があれば、PFASの使用が考えられる。横田基地が汚染源の一つであることは疑いない」と指摘しました。
会では、5月にも約650人分の最終的な調査結果を公表する予定です。
東京民報2023年4月16日号より