「マイナンバーカード強制をやめて 健康保険証廃止は撤回を!」と訴えた集会が18日、衆議院第2議員会館内で開催されました。マイナンバー制度反対連絡会や全国保険医団体連合会(保団連)などが主催しました。
反対連絡会が集会
健康保険証を廃止し、マイナンバーカード(マイナカード)に一本化するマイナンバー法など関連法改正案が、19日にも参議院の委員会採決が狙われるという状況での開催。会場は200人、ウェブからも550人が参加しました。
集会冒頭で保団連の住江憲勇会長は、17日の参考人質疑で、マイナ保険証への一本化で、この間指摘してきた無保険者が生まれることを政府も否定できなかったと紹介。さらに2021年10月から13カ月の間に7300件の誤登録があったと報道されたことを「氷山の一角だ」と指摘し、こういった問題を払拭しないまま採決を行うことはあり得ないと訴えました。
無責任な強行に怒り

集会には、17日の参議院地方創生デジタル特別委員会で参考人として意見陳述を行った、家平悟さん(障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会事務局長)も参加。自身も脊髄損傷などの障害があります。
家平さんは、自己決定ができない障害者や高齢者に関して、誰が代理をするかを政府が明言できなかったことに触れ、「最も支援を必要とする人へのサポートが決まっていない。無保険者が生まれるのは火を見るよりも明らかだ」と指摘。無責任な制度を強制的に進めることに怒りを込めました。
マイナンバー制度に詳しい清水勉弁護士は、マイナ保険証と健康保険証の違いを指摘。マイナ保険証は個人情報漏洩のリスクから管理責任を負える人のみが任意で保有する申請主義。一方、健康保険証は国が全国民に対して医療を受ける権利を保障するために郵送で手元に届けるものです。
「制度が違うものを一つのカードにまとめるのは法的にも実務的にも無理がある」と強調しました。
現場に広がる混乱
大阪府保険医協会は、205の医療機関から回答のあった、マイナ保険証に対応するための「オンライン資格等確認に関するアンケート」の結果を報告。4月の正式導入から運用を実施している医療機関の半数以上でトラブルが起こっていることが分かりました。
多くはシステムの根本に関わる問題で、顔認証が反応しない、該当する被保険者番号が登録されていない、システム障害などです。誤った個人番号や氏名で登録されている例もあり、「保険証も持参してもらっている」など、医療現場の負担と混乱が続いていることが報告されました。
また7割を超す医師が保険証の廃止に反対しており、「高齢者がマイナンバーカードを持ち歩くのは心配」「進め方が乱暴すぎる」「マイナ保険証は受診の度に提示を求めるので不満を言われる」といった切実な声が寄せられました。
経済ジャーナリストの荻原博子さんが「コロナ禍で疲弊した医療機関をマイナ保険証対応で、さらに苦しめるのか」とゲストスピーチ。日本医療労働組合連合会、日本自治体労働組合総連合、全国商工団体連合会からそれぞれの現場での問題が共有されました。
政府と自民、公明、維新などは19日の委員会採決を狙っていましたが、この間指摘されてきた無保険者が生まれる問題を否定できず、採決を見送らざるを得なくなりました。
昨年の10月から始めた保険証廃止に反対する署名は67万人分を超え、反対の声は広がり続けています。
連日、議員要請や国会傍聴に加え参院議員会館前での座り込み、ツイッターデモなどさまざまな取り組みが行われています。参加者は「廃案に追い込み、国民皆保険制度を守ろう」と決意を固めました。
東京民報2023年5月28日号より