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【議会へキックオフ 紹介 新人議員】江東区議 西部(にしべ)ただしさん(31) 「普通に暮らせる社会が理想」〈2023年6月11日号〉
- 2023/6/13
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「応援してくれた、たくさんの人たちに支えられ、やっと実りました。妻や娘にもずいぶんと負担をかけました。本当に感謝しています」。江東区議選(定数44)で初当選した西部ただしさん(31)は、前回区議選(2019年)で惜敗の悔しさを味わっただけに喜びもひとしおです。
4年半前、暴走する安倍政権への怒りから、そして、勇退するそえや良夫区議(当時)の後を受け継ぐため、生まれ育った地元砂町で正社員の職場を辞めての初挑戦でした。「落選が分かった瞬間は頭が真っ白になりました。でも心は折れませんでした。これまでの自分の人生を考えれば、そんなにうまくいくわけがない。次に向けて何が足りなかったかを考えよう」
困窮の子ども時代が原点に
落選しても「自分らしい人生」と前向きになれたのは、子どもの頃の貧困生活と過労死レベルの長時間労働を強いるブラック企業で働いた経験があったからだったと振り返ります。
小学生の頃に保育士だった母親が脳腫瘍となり、大手術の末にやっと社会復帰できたと思えば、今度はタクシードライバーの父親が心筋梗塞で倒れました。家計は火の車になりました。
「親の苦労は分かっていても、子ども心に貧乏が恥ずかしく、親を恨んだこともありました」という西部さんには、高校生の時の忘れられない記憶があります。妹が通う中学校から「滞納した給食費を払わないと卒業させない」と先生から言われたのです。その一言は、今も心のしこりとなっています。
「今の子どもたちに、そんなつらい思いを絶対にさせたくない」。学校給食費の無償化は必ず実現したい公約として、熱い思いを込めて訴えました。子どもたちから「本当にできるの」との声がかかり、西部さんは「絶対やるよ」と答えました。
区議選後、江東区は小中学校の完全無償化を10月から実施すると発表しました。「本当にうれしい。4年前は訴えていても実現できる確信が持てなかった。もしかしたら落ちた原因は、それかな」と苦笑します。