【躍進への挑戦 衆院比例東京 共産党予定候補】宮本徹衆院議員に聞く  願い届く当たり前の政治に 岸田政権はマイナス50点〈2023年7月30日号〉

 日本共産党の宮本徹衆院議員(51)=比例東京ブロック予定候補、東京20区重複=は、年の初当選以来、安倍、菅、岸田の各政権と、国会で対決してきました。岸田政権の現状をどう見るか、衆院予定候補としての決意とあわせて聞きました。

みやもと・とおる 1972年兵庫県生まれ。東京大学卒。比例東京ブロックとともに重複立候補を予定する東京20区は東村山市、東大和市、清瀬市、東久留米市、武蔵村山市

 -張り出しが始まった新しいポスターに、「衆議院発言時間ナンバー1」の文字がありますね。

 ジャーナリストの田原総一朗さんが会長の政策NPO「万年野党」の調べで2022年度の衆議院での質問時間ナンバーワンでした。三ツ星議員の評価をいただきました。

 -さまざまな論戦で対決してきた立場から岸田政権をどう見ていますか。

 先日、田原さん司会の番組「朝まで生テレビ」に出演した際、岸田政権を100点満点で、何点と評価するかが話題になりました。他党の皆さんは、60点とか50点、30点、12点などの評価でしたが、私は、やるべきことはやらず、やってはならないことばかりやっていると、マイナス50点をつけました。

 専守防衛を投げ捨てて敵基地攻撃能力を保有し、軍事費を倍増させる。その財源づくりに年金財源や医療の財源まで流用する。健康保険証の廃止、超老朽原発の運転を可能にする原発推進法、命を脅かす入管法改悪や差別を助長しかねないLGBT法などなどです。

 私の初当選時は、安倍政権で、政治の私物化や安保法制による平和主義の破壊など、戦後最悪の政治だと思っていましたが、その安倍政治に負けない、最悪の政治だと言わなければなりません。

学ぶ権利を脅かす異常

 -初当選から3期にわたり、自公政権と対決してきました。

 私の大学の卒業論文は学費無償化がテーマで、国会でも教育無償化をライフワークに取り組んでいます。国会で初めてのテレビ中継入りの予算委員会での質疑でも教育無償化を取り上げました。

 今回、岸田政権が「異次元の少子化対策」と言い始めました。私は異次元というのであれば、教育無償化こそ柱に据えるべきだと求めました。内閣府の調査でも子育て世代が「理想の数」の子を持つうえで、教育費の高さが最も大きな妨げになっています。

 最終盤に、岸田政権の少子化対策で高等教育費用の負担軽減のさらなる拡充が盛り込まれましたが、依然として、予算規模からして、対象は極めて限られる不十分なもので、財源の見通しもありません。

 いま、二人に一人の学生が奨学金を利用し、多くが借金となる貸与制です。昨年はその返済に追いつめられ、少なくとも10人の方が、自ら命を絶ったとの報道もありました。

 学ぶ権利は憲法に保障されているのに、高すぎる授業料を払うために、山のような奨学金という借金を背負って、その返済が行き詰まり、命を絶ってしまう。こんな異常の放置は、許されません。

 軍事費の倍増や、大企業の減税には、膨大な財源を用意しても、その一部でできる教育無償化は実現しようとしない。この政治を大本から変えるしかないと、思いを強めています。

行政監視の好例と評価

 -21年の前回衆院選以降の論戦で特に印象に残っているものは。

 統一協会をめぐる問題が、大きな焦点となってきました。

 統一協会の解散命令請求をめぐって、政府は当初、宗教法人法の解釈として、その法人の役員が刑事罰を受けた場合に要件を限っていました。

 これでは、統一協会には解散命令請求を出せません。統一協会は多くの裁判で民法上の不法行為を認められており、私は予算委員会(22年10月)で岸田首相に対して、解散命令請求の要件を刑事罰に限る運用は間違っていると迫りました。

 首相は、その日は、刑事罰に限るという解釈を変えない答弁を繰り返しました。しかし、翌朝一番の答弁で、岸田首相は「昨日の議論を踏まえて、改めて政府の考え方を整理した」として、民法の不法行為も解散命令請求の要件に入りうる場合もあると述べました。

 ある新聞は社説で、「国会が行政監視機能を果たした好例」と評価してくれました。

 ただ、現状は国が質問権の行使を繰り返して、解散命令請求にはいまだ至っていません。解散命令請求を早く出すよう、引き続き迫っていきます。

事態が動いたPFAS汚染

 -東京にかかわるテーマで印象に残った論戦は。

 現在、多摩地域を中心に、有機フッ素化合物(PFAS)汚染が、深刻な問題になっています。

 6月に閉会した今国会では、3回にわたってPFASの問題を委員会で取り上げたほか、質問主意書も出して、汚染源とみられる横田基地への立ち入り調査や、政府の責任による住民の健康調査を求めました。

 6月29日の共産党議員団による聞き取りで、横田基地内でPFASの漏出事故が起きていたことを、国が初めて公式に認めました。

 それが、東京都が国に責任ある対応を求める動きにつながり、防衛相も自治体から要請があれば、立ち入り調査を米側に働きかけていきたいと発言するところまで事態が動いています。

 一方で、質問主意書でも、政府による大規模な健康調査を提起しましたが、政府の答弁は「(PFASの)科学的知見は十分ではなく、まずは知見の収集に努めている」というものでした。  知見の収集というなら、国が住民の健康調査をやってデータを集めることこそ必要です。国の姿勢は、きわめて後ろ向きと言わざるを得ません。

「頼りは共産党」多くの声

「政治を前に進める力をもっと大きく」

 -総選挙は秋にも、と言われています。

 今国会は数々の悪法が通されましたが、一本だけ提出自体を阻んだのが、日本学術会議法の改定案です。学術会議の人事に、政府が不透明に関与する仕組みを設けようという法案に、ノーベル賞受賞者らが連名で声明を出すなど、学術界を挙げての反対が広がりました。

 私は、そのノーベル賞受賞者らによる声明をパネルにして、岸田首相に提出断念を求めました。首相は、質疑の最後に「期限ありきではなく、学術会議と意思疎通を図りたい」と答弁しました。

 このやり取りを見て、ある著名な学者の方が、「頼りになるのは共産党だけだ」という言葉を寄せてくれました。

 私の国会活動は9年目を迎えましたが、今回の国会ほど、大軍拡や数々の悪法とのたたかいをめぐって、さまざまな分野の人たちから「頼りになるのは共産党だけ」という言葉を聞いた国会はありませんでした。

 衆議院で共産党は現在、465の議席のうち10ですが、この力が悪法をはばみ、修正させ、政治を前にすすめる大きな役割を果たしています。この力をもっともっと大きくすることが、国民の願いが当たり前に届く政治に近づく道だと確信しています。

 小選挙区では、東京20区で3回目の挑戦です。相手は木原誠二官房副長官です。政権の中枢を担う人に、宮本徹が勝つことが、政治を変える大きな扉を開く。比例での躍進、小選挙区勝利のために頑張り抜きます。

東京民報2023年7月30日号より

関連記事

最近の記事

  1. ① 発がん性物質PFAS「都は汚染源特定し対策を」多摩地域 都調査で21自治体検出 ② 日比…
  2.  9月17日から一週間、パリを訪れました。昨年11月、フランス大使館から連絡があり、同国外務省主催…
  3.  岸田内閣の首相補佐官に15日、国民民主党の元参院議員で、同党の副代表を務めた矢田稚子氏が就任しま…
  4.  株式会社東京民報社の第51期定時株主総会が9月22日、港区内で開かれ、事業報告や決算報告などが原…
  5.  急激な物価高や光熱費の高騰が国民生活を侵食し疲弊させているにもかかわらず、政府与党は効果的な施策…

インスタグラム開設しました!

 

東京民報のインスタグラムを開設しました。
ぜひ、フォローをお願いします!

@tokyominpo

Instagram

10月1日の制度開始が目前に迫ったインボイスに反対する、52万人超の署名の受け取りを岸田文雄首相に求める集会が9月25日、開かれました。インボイス制度を考えるフリーランスの会(STOP! インボイス)が主催。1000人以上が参加し、オンラインでも同時配信されました。
#日本共産党 の #山添拓 参院議員が9月17日から1週間、フランス・パリを訪れました。フランス外務省主催で毎年、世界各国から75人を招待する「将来を担う人材招聘プログラム」の対象となったもの。連載コラム「未来を拓く」特別編として寄稿してもらいました。
#日本共産党都議団 は9月20日、多数の樹木を伐採する #神宮外苑再開発(新宿、渋谷区)で、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の諮問機関 #イコモス(国際記念物遺跡会議)が再開発撤回を求める「ヘリテージ・アラート」発令などを受け、改めて秩父宮ラグビー場の移転建て替えを中止し、現在地での再整備を検討するよう盛山正仁文部科学相と日本スポーツ振興センター(JSC)あてに申し入れました。
#新宿区 は8日、#明治神宮外苑 の再開発事業者が申請した25本の樹木伐採を許可しました。このことに対し市民グループ「#未来に子どもたちの笑顔をつくる神宮外苑を考える会」は12日、新宿区役所前で抗議のスタンディングを行い、約40人が参加。#神宮外苑 をテーマにした #サザンオールスターズ の曲「#Relay ~ #杜の詩」を合唱し、「かけがえのない日本と地域の宝、神宮外苑を壊さないで」と訴えました。
環境省が東京電力福島第1原発事故で発生した汚染土を、#新宿御苑(新宿区内藤町)の花壇で「再生利用」する実証事業を計画している問題で、#日本共産党 議員や住民らは14日、環境省から直近の状況説明を受けるとともに、実証事業を強行しないよう求めました。
政府が10月から導入をねらう「#インボイス(適格請求書)」制度を止めようと、#日本共産党 の #小池晃 参院議員・書記局長とさまざまな分野のクリエーターらが語り合う懇談企画が14日、ネット中継されました。品川区議会で、インボイス延期の請願に取り組んだ「#品川フリーランスの会」が主催したもの。声優やイラストレーター、写真家、演劇人などが、小池氏と語り合いました。
ページ上部へ戻る