「世界中の指導者は、核抑止論は破たんしているということを直視し、私たちを厳しい現実から理想へと導くための具体的な取り組みを早急に始める必要がある」-原爆投下から78年目の日に開かれた、平和記念式典での松井一実広島市長の平和宣言の言葉です▼今年5月の広島でG7サミット後、初めての「ヒロシマの日」でした。記念式典で岸田首相は、G7がまとめた「広島ビジョン」に触れ「核軍縮に向けた国際社会の機運を今一度高めることができた」と誇りました▼しかし、同ビジョンは、核兵器を「存在する限り、防衛目的に役立てる」として、「核抑止論」を公然と宣言しています。松井市長の言葉は、日本や核保有国がしがみつく核抑止力論の破たんを厳しく指摘するものです▼松井市長は、11月に開かれる核兵器禁止条約の第2回締約国会議への、日本のオブザーバー参加も求めました。同条約は、世界の核兵器被害者の支援の枠組みづくりの議論など、実際の機能を発揮し始めています▼被爆者の平均年齢は85歳を超えています。「非核による平和というトーチを受け継いでくれる、より若く、強い手が必要です」-カナダ在住の被爆者、サーロー節子さんが原水爆禁止世界大会ヒロシマデー集会で訴えた言葉です。
東京民報2023年8月13日・20日合併号より