西東京バス 檜原村事故で乗客大けが 関係者「安全へ情報共有を」〈2023年9月3日号〉

 八王子市を拠点に東京西多摩地域や神奈川、山梨県などに路線バスや高速バスなどを運行する西東京バス(本社:八王子市、京王グループ)の路線バスが8月5日午後7時25分頃、檜原村で乗客が大けがを負う大事故を起こしていたことがわかりました。同社のホームページでは8月28日午前10時現在、事故の情報を公表していません。

バスになぎ倒された待ち合い小屋は撤去され基礎だけが残っている=8月26日、檜原村

 事故を起こしたバスは数馬発武蔵五日市駅行で現場の下和田バス停前は2車線道路で整備されています。現場はカーブから直線になる緩やかな下り勾配で視界を遮るものはなく、降雨はありませんでした。

 近隣住民によると夕食時にドカーンという大きな音で「事故か」と思い慌てて外に出ると、バス停の待合小屋をバスが土台からなぎ倒す形で正面が潰れ、ガードレールが車体にめり込んで停車していました。付近にブレーキ痕はなく時速50キロメートル出ていたとの情報もあり、バス停手前のガードレールの一部はバスに倒されて沢に転落。別の一部はバスの車体を貫通し、乗客1人の脇腹付近に突き刺さり大けがをしており、「骨が見えていた」と語る目撃者もいました。居合わせた看護師が意識のない運転士の脈をとり「手が冷たい」として、車内最後部の座席に寝かせたといいます。

 同社の他の運転士は「この路線はカーブの連続でとても神経を使います。停留所の間隔も距離が長く、信号もありません。そのため夏の暑い時期に、こまめな水分摂取はできません。制帽も脱げないので熱中症も心配です」と述べています。

 同社では通常、事故が発生すると情報を共有するために、営業所内掲示などで運転士に注意喚起がされます。この事故は一度、営業所によっては体調不良時の対応とともに掲示されましたが、その上に別の情報を重ねて貼り、事故の内容が見られなくされました(写真)。発生時刻や場所以外の事故の詳細は同社の運転士に現在も知らされていないといいます。

同社営業所で(関係者提供)

 全日本建設交運一般労働組合東京本部バス関連支部の佐々木仁執行委員長は、「公共交通で起きてはならない事故で、原因が何かを考え、すぐに対応せねばなりません。情報は再発防止や安全意識の啓もうのために、いち早く社内で共有すべきです。運転士の健康問題に起因するなら、個人の責任を追及するだけではなく、会社も然るべき対応を取る必要があります」と語ります。

 東京民報が同社に問い合わせたところ事故を認めました。乗員・乗客6人の内けが人が2人の事故で、原因は運転士の体調不良。担当者は「安全運行はみんなで考えるもの。本人だけの責任にするのではなく、会社として対応する」と答えています。

東京民報2023年9月3日号より

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