イコモスの警告受け止めよ 神宮外苑再開発 共産党都議団が申し入れ〈2023年9月24日号〉

 ユネスコの諮問機関である国際NGOイコモス(国際記念物遺跡会議)が、危機的状況にある文化遺産の保護を目的とする「ヘリテージ・アラート」を発令(9月7日)し、神宮外苑再開発の撤回を求めたことを受けて、日本共産党都議団は15日、重大な警告と受け止め、同開発を中止するよう小池百合子知事宛てに申し入れました。

中村副知事(右端)に再開発中止を求める共産党都議団=15日、都庁

 ヘリテージ・アラートは「類例のない文化的遺産」である神宮外苑が、再開発によって超高層ビルを建設し、野球場、ラグビー場の解体、新設で第一期工事だけでも3000本の樹木が伐採・移植され、「100年にわたり育まれてきた森は、完膚なきまでに、破壊される」と警告。都に対し、「都市計画公園を削除し、超高層ビルを建設することにより、永久に市民が公園を使用する権利を剥奪したという重大事に鑑み、都市計画決定の見直しを行い、環境アセスメントの再審を行うべきである」としています。

 申し入れで大山とも子都議は、ヘリテージ・アラートが百数十カ国の参加国から一人の反対もなく決まったことに触れ、「すごく重いこと。世界中から日本と東京の対応が注目されている。都は重く受け止めてほしい」とのべ、開発中止を求めました。

 中村倫治副知事が応対し、「ご要望は伺いました。関係部署にしっかり伝えます。法令に則ってやっていきます」と答えました。

樹木保全策の提示を都が要請

 東京都の都市整備局と環境局は12日、神宮外苑再開発事業者の三井不動産、日本スポーツ振興センター、明治神宮、伊藤忠商事の4者に対し、新宿区が許可した神宮第2球場周辺の樹木の伐採を始める前に、伐採本数を減らすなど樹木保全の具体策を示すよう要請しました。

 伐採は月内にも始まる可能性がありますが、反対世論の高まりやイコモスの「ヘリテージ・アラート」が発令される中、都の対応が迫られていました。

 一方、小池百合子知事は15日の定例記者会見で事業者への要請について「イコモスのお話とは関係ございません。事業者にはしっかりと対応していただきたい」とのべ、ヘリテージ・アラートを受けての対応を否定しました。また、事業者からは「真摯に行う」との回答があったとしています。

申し入れの詳細はこちら(共産党都議団公式HP)

東京民報2023年9月24日号より

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