同一労働に同一賃金を 西東京バス 控訴審が結審〈2023年10月15日号〉

八王子市内を走る西東京バス

 京王グループの西東京バスの運転士、安田崇弘さんが、自身に課された不当な懲戒処分の取り消しと、同じ運行業務に就く運転士の間で100万円に及ぶ賃金格差があることは不当だと会社を訴えた裁判で、控訴審の第一回が5日、東京高裁でありました。

 西東京バスは、八王子市を中心に路線バスを運行しています。安田さんは同社が経費節減のために設立した子会社「多摩バス株式会社」に就職。2011年に、同社が吸収合併されて、西東京バスの所属になりました。

 しかし、多摩バスの社員だった運転士のために複数の就業規則をつくることで、安い賃金のままで働かされ続け、10年以上にわたって年収で100~150万円にわたる差別が放置されています。運転士は同じバスを同じダイヤで運行しており、「同一労働同一賃金」の原則に反するとして、裁判を起こしたものです。

 東京地裁は2023年4月、格差を容認する判決を出し、安田さんが控訴しました。

 この日の意見陳述で安田さんは、「『一国2制度』と呼ばれる耐えがたい働かされ方が10年以上も続いている。経営環境の変化は、従業員全体の労働条件を調整して対応すべきもの」と訴えました。

 また、安田さんが、2016年に、飲食施設などがない発着所で、休憩中に現金で食事を購入したとして、「私金所持違反」として懲戒処分を受けたことについても、取り消しを求めました。

 終了後の集会で、安田さんの代理人の尾林芳匡弁護士は「一審判決はあらゆる点で不合理」と厳しく批判しました。

 安田さんは、傍聴席をいっぱいにする支援者が集まったことに感謝を述べるとともに「粘り強くたたかい、(同社の)労働者の表情を変えたい。明るく働ける職場となるよう頑張っていきたい」と決意を語りました。

 控訴審はこの日で結審し、判決は12月5日に言い渡されます。安田さんを支援する「同一労働同一賃金・休憩時間の自由利用を求める会」は、公正な判決を求める署名を呼びかけています。

東京民報2023年10月15日号より

関連記事

最近の記事

  1. 検察は控訴するな、とアピールするボクシング関係者=2024年10月3日、千代田区  「袴田さ…
  2.  利島村議選が6日投開票され、日本共産党の笹岡寿一氏は4票差で及びませんでした。 当加藤大樹…
  3.  昭島市長選が6日投開票され、弁護士で「対話でつながるみんなの昭島」の田所良平氏(44)=無所属新…
  4. 1面2面3面4面 【1面】 共産党躍進 政治を大本から変えよう 総選挙 15日公示、27…
  5.  「刷新感」―自民党総裁選で繰り返し語られた言葉です▼裏金問題や統一協会との癒着など、底なしの腐敗…

インスタグラム開設しました!

 

東京民報のインスタグラムを開設しました。
ぜひ、フォローをお願いします!

@tokyominpo

Instagram

#東京民報 12月10日号4面は「東京で楽しむ星の話」。今年の #ふたご座流星群 は、8年に一度の好条件といいます。
#横田基地 に所属する特殊作戦機CV22オスプレイが11月29日午後、鹿児島県の屋久島沖で墜落しました。#オスプレイ が死亡を伴う事故を起こしたのは、日本国内では初めて。住民団体からは「私たちの頭上を飛ぶなど、とんでもない」との声が上がっています。
老舗パチンコメーカーの株式会社西陣が、従業員が救済を申し立てた東京都労働委員会(#都労委)の審問期日の12月20日に依願退職に応じない者を解雇するとの通知を送付しました。労働組合は「寒空の中、放り出すのか」として不当解雇撤回の救済を申し立てました。
「汚染が #横田基地 から流出したことは明らかだ」―都議会公営企業会計決算委で、#斉藤まりこ 都議(#日本共産党)は、都の研究所の過去の調査などをもとに、横田基地が #PFAS の主要な汚染源だと明らかにし、都に立ち入り調査を求めました。【12月3日号掲載】
東京都教育委員会が #立川高校 の夜間定時制の生徒募集を2025年度に停止する方針を打ち出したことを受けて、「#立川高校定時制の廃校に反対する会」「立川高等学校芙蓉会」(定時制同窓会)などは11月24日、JR立川駅前(立川市)で、方針撤回を求める宣伝を21人が参加して行いました。
「(知事選を前に)税金を原資に、町会・自治会を使って知事の宣伝をしているのは明らかだ」―13日の決算特別委員会で、#日本共産党 の #原田あきら 都議は、#小池百合子 知事の顔写真と名前、メッセージを掲載した都の防災啓発チラシについて追及しました。
ページ上部へ戻る