子の福祉害する可能性 共同親権 弁護士らが会見〈2023年11月5日号〉

実務経験から共同親権の問題点を訴える弁護士=10月24日、千代田区

 子がいる夫婦が離婚した後、両親が共に親権を持つという「共同親権」の導入をめぐり、法務相の諮問機関である法制審議会の部会での議論がパブリックコメント(意見募集)の結果の全容さえ審議員に示されぬまま進められています。こうした中、8月末に法務省が民法要綱案(たたき台)を示したことに心配と疑問点があるとして、離婚や子の監護問題に関し実務経験が豊かな弁護士有志らが同省に申し入れ、10月24日に記者会見を開きました。

 会見では「仲の良い元夫婦間では現行法で子との面会交流などが対応できている一方で、不仲な別居親が切望する共同親権は新たな紛争が起こる懸念がある」と警鐘をならしました。共同親権がこのまま導入されれば、「現状の家庭裁判所の体制では子の福祉は守れず、害される」として、進学先や修学旅行での海外渡航も別居親が応じなければ制限されるなどの懸念が具体的に示されました。

 また子が恐怖心や嫌悪感を抱く別居親との面会を強要されることによる不適応などの心身的な症状について、「別居親は何の影響もないが、同居親がメンタルケアや通院を行うために心身や経済的に大きな負担が生じることに配慮がない」と指摘しました。

「遅れず成立」と

 オンラインで参加した岡村晴美弁護士は「『子連れ別居禁止法』となる可能性がある。配偶者暴力から逃げられなくなる」と強調。さらに「10月21日に同制度を推進している親子ネットの意見交換会で、自民党の柴山昌彦元文科相(埼玉8区)が『遅れれば遅れるほど共同親権が成立しなくなる』と発言していた」と報告しました。

 柴山氏はX(旧ツイッター)でも「埼玉県(虐待防止)条例案の炎上からの撤回を見て、最短の現実解は法務省たたき台を改良し、一刻も早く成立させることと確信した」と述べており、共同親権の問題点が広く国民に知られる前に導入を進める狙いを露骨に示しています。

 柴山氏だけではなく、海江田万里衆院議員(東京1区)、旧統一協会と懇意にしている下村博文(東京11区)衆院議員など、東京選出の議員も共同親権導入への活動を続けています。

東京民報2023年11月5日号より

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