公立小中学校教職員の婦人科検診(乳がん・子宮がん検診)を実施している多摩地域の市町村が14自治体(47%)にとどまることが日本共産党都議団の調査で分かりました。自治体職員の婦人科検診は多摩地域ではゼロでした。都内全62区市町村を8月中旬から9月初旬にかけて調査したもので、10月26日の記者会見で明らかにしました。両職員とも全23区が実施する区部と比べて多摩地域の行政サービスの遅れが問題となる新たな「多摩格差」として注目されます。
厚生労働省の調査によると、女性が最も多くかかるがんは乳がんで、30代前半から急増し40代後半にピークを迎えます。子宮がんは乳がんより罹患者の増える年齢が低く、現役世代では乳がんに次ぐ罹患率です。都保健医療局の調査では、がん検診が職場で行われる場合は対象者の約8割が受診する一方、他に受診機会がない場合に受ける区市町村検診の受診率は3割未満と激減しています。
新たな多摩格差
共産党都議団の調査では、多摩地域の公立小中学校教職員の婦人科検診については13市が過去に実施していたものを廃止。このうち6市は2019年度以降に廃止していました。
都立学校の教職員や都職員は、婦人科検診を勤務時間内に受けることができます。共産党都議団には、多摩地域の教職員から「婦人科検診がなくなって(居住自治体で行う検診の)手続きの時間が取れず、機会を逸した」「復活してほしい」などの声が寄せられています。
会見で尾崎あや子都議は、「健康を保ちながら働ける環境を確保するのは、事業主である自治体の責務だ」と強調。教員の長時間労働が社会問題となる中、「ジェンダー平等にも反する」と訴えました。
自治体の回答から、都立がん検診センター(府中市)が職域検診から撤退したことや厳しい財政状況などが、多摩地域教職員の婦人科検診廃止の背景にあることも分かりました。共産党都議団では、都としての支援も含めて改善が必要だとしています。
東京民報2023年11月12日号より