日本共産党の原田あきら都議は13日、知事や全局長が出席して行う都議会決算特別委員会で、批判が高まる明治神宮外苑(新宿区、港区)の再開発をめぐって、小池百合子知事が記者会見で事業者(三井不動産など)が再開発のコンセプトとして「内苑外苑の護持」を明確に打ち出していると発言したことについて、「認可の要件である公共性に反するのではないか」とただしました。
原田都議は、外苑再開発が都や国の独立行政法人である日本スポーツ振興センター(JSC)による「特別な配慮」なくして計画はできないと指摘。①JSCが秩父宮ラグビー場敷地を計画に差し出す②「公園まちづくり制度」で都市計画公園を削除し、建築の高さ制限などをなくす③再開発促進区で公園内の容積を事業者の三井不動産や伊藤忠のビルに移転し、超高層ビルの建設を可能にする―をあげ「いずれも都市計画公園内で行われる前代未聞の特別な配慮だ」と述べました。
「公園まちづくり制度」は、超高層ビル建設が可能になるように都市計画公園区域を削除することと引き換えに、削除する面積の60%を「緑地等」にすると定めています。
原田都議は外苑再開発で、3分の2の樹木が伐採移植される「建国記念文庫の森」が、「新たに確保した緑地」として申請していると告発。同制度が神宮外苑の地区計画が策定される年に、条例ではなく要綱で創設されたことについて、「都市計画公園を削除するという重大な決定を、広く都民にも議会にも公開せず、行政内部の手続きで短期間に都市計画変更まで進めるためのものだ」とし、制度の即刻廃止を求めました。
また神宮外苑地区の地権者ではない三井不動産に、地区計画の策定で特別な配慮をした可能性も指摘。文教地区である同地区は、条例で文教上必要と認められるもの以外建設できず、演芸場、観覧場、マーケット、ホテルは原則禁止です。
原田都議が「ホテルが文教上必要と認められる理由」についてただしたのに対し、都側からはまともな答弁はありませんでした。原田都議は再開発で建設するホテルについて、「地区周辺の大使館や医療施設等の利用者など中長期利用を見込むことが可能な施設とし、キッチン付きの施設とし」などど事業者の企画提案書に書かれていることを示し、富裕層の医療ツーリズムも視野に入った長期滞在型ホテルの建設であり「文教上必要なものとは認められない」と強く批判しました。
イコモスの提言・意見を無視
原田都議はイコモス(国際記念物遺跡会議)の再開発計画の撤回や都市計画決定の見直し、環境アセスメントの再審要請、日本イコモスからの提案・意見に対し、都や事業者の三井不動産が一度も回答せず、議論のテーブルにもついていないと批判しました。
谷崎肇一都市整備局長は、日本イコモスから10件の提言や意見があったと認めながら、一度も回答していないことに「法令に基づく手続きで適切に対応している」と強弁しました。
小池知事は、答弁を重ねて求められたのに、どの質問にも一度も立ちませんでした。
防災チラシを宣伝に利用?
小池知事の名前、顔写真入り
原田あきら都議は、小池知事の顔写真と名前、メッセージを掲載した防災啓発チラシについて、来年の都知事選を前にした宣伝効果を狙ったものであり、各戸への配布を補助金と引きかえに都が都内の町会・自治会に事実上強制していると告発し、中止するよう求めました。
問題のチラシ(A4版2ページ、写真)は、防災対策の普及と啓発のためのもので、「『日常備蓄』で災害にそなえましょう」などとイラストなどを使って呼びかけるもの。3パターンがあるものの、片面にある知事の顔写真、名前、メッセージは共通しています。
自治会や町会が簡易トイレやスマートホン充電器、レトルト食品を購入するための都の「防災力強化助成金」20万円を受けるためには、このチラシを各戸に配布することが必須条件。2022年度は1773町会・自治会が申請し、88万枚のチラシを配布。給付した助成金の総額は約3億3000万円でした。
さらに今年度の「関東大震災100年町会・自治会防災力強化助成金」を受けるために配布しなければならないチラシは、小池知事の写真、名前、メッセージが表面に登場し、大きさもメッセージの長さも増えました。必須条件がチラシ配布の代わりに、宣伝効果がより大きいポスターの掲示になりました。
原田都議は「税金を原資に、町会・自治会を使って知事の宣伝をしているのは明らかだ」と強調。「チラシの配布や掲示をしないと助成金を受け取れないやり方は変えるべきだ」と迫りました。
東京民報2023年11月26日号より